カテゴリー別アーカイブ: 事務局からのお知らせ
関西ベンチャー学会 第21回年次大会概要と会員研究発表者募集について
関西ベンチャー学会 第21回年次大会概要と会員研究発表者募集について
来年2月26日(土)、武庫川女子大学において年次大会(概要:下記)が開催されます。
それに伴い会員発表者を募集いたします。発表ご希望の方は、12月18日(土)まで、ぜひご応募ください。
お待ちしております。尚、発表は遠隔方式でなく、会場で発表いただく予定です。
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会員研究発表者募集について
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会員の皆様からのベンチャーの事例的な発表、理論的研究等の発表者を募集いたします。
発表希望者は2021年12月18日(土)までに下記事務局へ「会員研究発表の概要」
(A4版、1枚1200字程度、2枚以内)を添えて、事務局宛に申し込んでください
(書類はメールに添付してください)。
応募多数の場合はお断りすることがあります。予めご了承ください。
「会員研究発表の概要」つきましては、ホームページなどに掲載をさせていただきます。
予めご了承ください。
概要の送付先→関西ベンチャー学会事務局E-mail:info@kansai-venture.org
申込者には、後日、受領確認の返信メールをお送りします。
「会員研究発表」の採否は2022年1月10日(月)までに本人宛(発信メールアドレス宛)
に通知します。当日の発表時間は20分間です。
「会員研究発表」決定者は、2022年2月12日(土)までに発表予定稿を作成し、事務局に
メール送信してください。
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関西ベンチャー学会 第21回年次大会
「SDGs/ソーシャルベンチャーと女性起業家」
関西ベンチャー学会会長 定藤(さだとう) 繁樹
(大阪学院大学経営学部教授/関西学院大学名誉教授)
年次大会実行委員長 湯川カナ
(一般社団法人リベルタ学舎代表/兵庫県広報アドバイザー)
[ 大会概要 (予定)]
1日 時 2022年2月26日(土) 13:00~18:20
2開催方法 リアル方式(対面)ないし遠隔方式(ZOOM)併用方式による開催
3.会 場 武庫川女子大学公江記念館(経営学部校舎)
〒663-8558 兵庫県西宮市池開町6?46
4受 付 12時30分 会場とZOOM併用による受付開始
5開 会 13時00分
6テーマ 「SDGs/ソーシャルベンチャー×女性起業家」
~より自由に、より多様に。これからのベンチャーを考える~
7主 催 関西ベンチャー学会
8後 援(予定)
近畿経済産業局、大阪府、公益法人関西経済連合会、一般社団法人関西経済同友会、大阪商工会議所
日本政策金融公庫、一般社団法人関西ニュービジネス協議会、日本経済新聞社大阪本社
毎日新聞社、日刊工業新聞社、関西学院大学イノベーション研究センター、関西ベンチャー研究会ネットワーク
(神戸・大阪・北摂・京都)、日本ベンチャー学会、非営利コンソーシアムJapan America Business Initiatives(JABI)
9 参加について
事前申込により非会員もご参加いただけます(会員総会を除く)。
参加費 会員・学生(無料) 一般(1000円)
懇親会が開催される場合は参加費とし別途5000円を頂戴します。
参加申込・参加費振込みをいただきました方に年次大会に出席いただくための
ZOOM・URL等をお送りします。参加募集は後日となります。
10.問い合わせ
関西ベンチャー学会事務局 西森綾子
TEL:072-688-7277 FAX:072-688-7277
mail:info@kansai-venture.org
[ 趣 旨 ]
2015年の国連総会で採択された“持続可能な開発目標(SDGs)”には、全世界・人類が
2030年までに達成すべき17の目標が明記されており、国際機関、国、自治体、企業、
NGO、市民団体などの様々な主体が、気候変動、貧困、差別、教育、食料、ジェンダー
などの多様な課題の解決に取り組んでおります。「誰一人取り残さない」持続可能で
多様性と包摂性のある社会の実現にむけて、ソーシャルアントレプレナーとして挑戦
する女性起業家の活動にも注目が集まっております。今年度の年次大会では、地域
コミュニティ―やグローバル社会の中で、チェンジメーカーとして活躍する女性起業家
の活動を検証し、関西での一層の女性アントレプレナーの輩出と活躍について考察して
まいります。
[ 大会次第 ]
13:00~13:05 開会のあいさつ 関西ベンチャー学会会長 定藤(さだとう)繁樹氏
13:05~13:10 主催校あいさつ 武庫川女子大学経営学部長 福井誠氏
13:10~14:10 キーノートスピーカー 認定NPO法人かものはし 共同創業者 村田早耶香氏
「子どもが売られない世界をつくる」
14:10~14:20 休 憩
14:20~16:00 パネルディスカッション「SDGs/ソーシャルベンチャーと女性起業家(仮)」
(パネラー:予定)
小笠原恭子氏((株)グランディーユ代表)
黒田尚子氏(神戸アジアン食堂バルSALA代表)
東 信吾氏(NPO法人SK Dream Japan シニアフェロー/
一般社団法人ソーシャルビジネスバンク代表理事)
(司会・ファシリテーター)
関西ベンチャー学会理事 湯川カナ氏(一般社団法人リベルタ学舎代表)
16:00~16:10 休憩
16:10~17:40 研究発表 3名×3会場
17:40~17:45 閉会あいさつ 年次大会実行委員長 湯川カナ氏
17:45~18:00 休憩
18:00~18:20 年次総会(会員のみ出席)
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関西ベンチャー学会 事務局
西森 綾子 Nishimori Ayako
E-mail : info@kansai-venture.org
〒569-1199
高槻市別所新町4-1
日本郵便 高槻北支店留 関西ベンチャー学会
TEL/FAX:072-688-7277
営業時間: 9:00~17:00
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第10回ビジネスモデルとベンチャー研究部会(11月13日)
第10回ビジネスモデルとベンチャー研究部会開催のご案内
日時:2021年11月13日(土)10:00~12:30 場所:オンライン(ZOOM)で行います。
参加申込:下記のPeatixまたはMailのアドレスから申し込んで下さい。当日(ZOOM)のURL,ID/PWは直前の11月12日(金)にお書き頂いたメールアドレス宛に送ります。メールで申し込まれる場合のタイトルは「第10回ビジネスモデルとベンチャー研究部会に参加」とお書きください。また、本文に、1.お名前( )2.ご所属名( )3.メールのアドレス( )4.電話番号( )を記入下さい。宛先は小西一彦(研究部会主査)です。
→https://peatix.com/event/3075321/view
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第1部 講演と質疑応答(10:00~12:00)
第1報告「シリコンバレーでの起業と崖っぷち人生(現在進行中)」(10:00~11:00)
報告者:竹内ひとみ氏(Coloridoh Inc. Founder)
<プロフィール>
1974年兵庫県生まれ。4児の母。ドットコムバブル時代のソフトウェアの営業を経て結婚。妊娠中に取得した料理の資格を生かし、結婚後は料理・お菓子教室の講師や雑誌のフードコーディネーターとして活動。2014年、夫の仕事で家族でシリコンバレーに渡米し、スタートアップ向けのシェアハウスを運営。2019年、自身のアイディアを元にcoloridoh(コロリド)創業。2021年、日本ローンチに向け、準備中。
<講演内容の概要>
キャリアもコネもお金もない主婦が、45歳でシリコンバレーで起業し、絶賛足掻き中のストーリーをエピソードトーク満載でお話します。ドットコムバブル時のベンチャー企業での経験、日米での子育て、シリコンバレーでのシェアハウス運営は7年間で60カ国以上、6,000人以上を迎え、休むことなく大量の家事をこなす日々、全ての体験が私を成長させてくれました。なぜ起業したのか、小学館や味の素など、次々と大手企業のアクセラレーターに採択されたのは何故か、そして現在。まだまだ挑戦は始まったばかりですが、少しずつ広がる輪を感じながら可能性にワクワクしております。色々あって、やっぱり人生は面白いな!と、皆さんと共有できる機会になれば幸いです。
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第2報告「地域版プラットフォームビジネスとは」(11:00~12:00)
報告者:矢下幸司氏
(一般社団法人都市文化観光研究機構 代表理事、関西ベンチャー学会会員)
<プロフィール>
前職の週刊トラベルジャーナルでは編集部記者、朝日新聞出版では、観光運輸レジャーを担当し、 観光分野では地域振興に役立つ企画特集を立案、 行政自治体や団体、流通を巻き込んだイベントや関連書籍なども数多く手掛けてきた。 観光分野でのマネジメント人材、後継者育成。地域経営の担い手として、 マーケティング事業や自治体の観光施策アドバイザー、観光地のコンテンツ開発なども行う 一般社団法人都市文化観光研究機構を兵庫県神戸市で設立。 現在は、兵庫県阪神南県民センターの文化観光政策委員、阪神南都市型ツーリズム推進協議会委員も務める。昭和49年兵庫県西宮市生まれ、兵庫県立鳴尾高校、阪南大学商学部、立教大学大学院前期博士過程修了(経営管理学修士号/MBA取得)
<講演内容の概要>
起業をして1年半、ビジネスモデルを構築するときに特に重要視をしたのが、フレームワークのSTP分析。トラベルジャーナル、朝日新聞出版とメディアでは、企画・取材・編集と出版ビジネスに関わり、観光・運輸・レジャー産業を追い続けてきた。この20年、団体旅行から個人旅行へ、さらにオンライントラベルや訪日旅行の全盛時代を経て、オーバーツーリズムを生み、観光公害という残念な言葉も生まれました。アフターコロナへの道筋も見えてきた昨今、必要とされてきた地域版プラットフォームビジネスの概念や観光ホスピタリティ産業の中での需要性をご説明しながら、一般社団法人都市文化観光研究機構のビジネスモデルのミッション、ビジョンについてお話します。
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第2部:交流会&懇親会(12:00~12:30)
講演者を囲んで質疑応答の続行&参加者の自己紹介など情報交流を行います。
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文化観光研究部会(11月18日)のお知らせ
11/18 の文化観光研究部会『観光のひろばZOOM』は、パソナの「ニジゲンノモリ」と地方創生の話を、中村 稔さまに語っていただきます!
昭和61年に通商産業省(現在の経済産業省)に入省し、 近畿経済産業局総務企画部長、兵庫県産業労働部長などを歴任 され、現在、株式会社パソナグループで顧問をされている中村 稔 様のご登壇です。淡路島の「ニジゲンノモリ」は、中村さんの「日本アニメランド構想」のアイデアがきっかけになっているとお聞きしております。その 「日本アニメランド構想」の発想の源泉を始めとして、今後、地方創 生に何が必要となるのかについて、観光振興の観点を含めた様々 な視点から熱く語っていただきたいと思います!
日 時:2021年 11月18日 (木) 19:00〜19:45 中村さまの話
19:45〜20:05 各地の観光の定点観測(オーストラリア、知床、京都府の予定)
20:05〜21:00 意見交換
ゲスト:中村 稔 様 株式会社 パソナグループ顧問
元経済産業省大臣官房参事官
元近畿経済産業局 総務企画部長
元兵庫県産業労働部長
テーマ:ウィズコロナ・ポストコロナの観光 9 「パソナの「ニジゲンノモリ」と地方創生の話!」
会 費:500円 (主催者会員・学生は無料です)
主 催:関西ベンチャー学会 文化観光研究部会、NPO法人 スマート観光推進機構
協 力:なにわ名物開発研究会
申込み:https://kanko46.peatix.com
連絡先:星乃 mail:hoshino3014@gmail.com (090-5645-1710)
※ お申し込みの皆さんに、Zoom招待メールをお送りいたします。
第2回「AI+農業+経営」プロジェクト研究部会
関西ベンチャー学会 第2回「AI+農業+経営」プロジェクト研究部会
日時:2021年10月29日(金) 18:30-20:00
演題:農産物加工による地域の名産品づくりと活性化
講演者:幸南食糧(株) 地域活性化研究所 所長 橋本太郎 氏
概要:
「おくさま印」の商標で知られる「幸南食糧株式会社」は、大阪府松原市で小さな米屋から50年前にスタートし、現在は、全国有数の米穀卸として海外にも展開しています。同社では、2020年に、国産農産物を通じて地域活性化に貢献していきたいという思いから、「地域活性化研究所」を設立、日本各地の特産品である農産物を生かしたオリジナル加工食品の企画、開発、商品化、デザイン、販売に取り組んでおられます。
今般、同事業の責任者で、6次産業化プランナーである、地域活性化研究所所長・橋本太郎氏をお招きし、日本各地で手がけられてきた同社の取り組みについてお話を伺うとともに、2020年にオープンした「新食品開発センター」にある世界最先端のレトルト真空食品製造機を用いた加工食品・保存食品の概要や、コラボレーションの提案についてお話があります。多くの方のご参加をお待ちしております。
会員無料。当部会への参加が初めての非会員・学生は無料です。
入会をお申し込みいただくと2回目以降の方も無料です。
発信者 主査 定藤繁樹
申込/連絡先 天野了一 amayan@ amayan.net
幸南食糧株式会社 米匠庵 地域活性化研究所所長 橋本太郎氏
http://kohnan.co.jp/ 〒545-0052 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1丁目1−43 あべのハルカス 29階 06-6227-0930
講演概要『ファンづくり型地域振興から考える観光産業』
5月11日の「文化観光研究部会」は、株式会社・社会起業研究所・学生団体それぞれの『エピテック』を運営、および運営サポートされている藤川遼介さんに登壇いただきました。(参加者44名)
タイトル:ファンづくり型地域振興から考える観光産業
〜観光復興のカギを握る地域住民の笑顔の生み出し方〜
【藤川遼介さんのプロフィール】
2012年 東京農業大学
国際食料情報学部 卒業
2014年 一橋大学大学院 商学研究科 修士課程修了(MBA取得)
総務省 地域力創造アドバイザー、観光庁 広域周遊観光ルート専門家
主な業務内容
• 観光まちづくり法人(DMO)立ち上げサポート
• 地域おこし協力隊導入設計
• 大学間連携サポート
• 地域住民プロジェクト立ち上げ 例) ご当地バレーボール大会 全国普及 プロデュース
藤川さんのビジョンは「日本の快国(快い国)」、ミッションは「地域資源の最大化」であると冒頭にお話されました。
次に「地域〇〇」の言葉の定義として、「地域づくり」「地域活性化」「地域おこし」など色々あるが、「地域づくり」は自治的施策であり“道の駅”など、「地域活性化」は経済的施策であり“名産品の創出や6次産業”、「地域おこし」は情緒的施策であり“シビックプライドや地域交流”を指し、これらを総称した言葉が「地域振興」であり、「地方創生」という言葉は、“都市部”に対して“地方”を対比させたスローガンだと定義されました。
大学院での研究は「自治体webのレイアウト比較」で、当時の主流は文字ばかりの自治体が中心だったのですが、徳島県神山町のwebは写真の活用が上手く、ファーストビューの情報量が少なく、イラストを駆使されており、テキストを減らし、情報を探しやすくされていると分析されました。そして山形県朝日町に文字の少ないWebページのレイアウト を提案されています。
株式会社・社会起業研究所・学生団体それぞれの『エピテック』の機能
2011年の東日本大震災を契機に、東北地方の再生や発展を意識したそうです。そして、他の大学とも一緒に活動したいと仲間に話すなかで、学生団体を立ち上げられます。
株式会社『エピテック』は“地縁とご縁を結ぶ”を理念に、地域コミュニティの形成から、地域経済の循環における伴走として、コンサルティング、企画、そしてプロデューサーとして若手の育成から運営まで関わるといいます。
学生との関わりの中で若者の考え方の変化も感じています。
2010年頃は「社会起業」の関心が強く、2014年頃は「地方創生」に関わりたいと変わり、その後「就活」を意識した “インターン制度”が主力になって来た影響で大きな変化が生まれます。2021年は、コロナ禍の影響もあり、活動に制限がかかったことから、「自己成長」につながるものへの関心が強くなっているといいます。
これまでの活動を通して、学生の「〇〇やりたい」を尊重し(学生団体エピテック)、大人が「よし分かった」と学生の背中を押してやる(株式会社エピテック)という形を作っています。大人が責任を持てる範囲の仕組みの中で、学生が個性を出すという形の方が、今の学生は伸び伸び活動できるみたいです。
事業としては、プロジェクトチームを結成し、地元の方と相談して事業化するといい、エピテックの強みは、学生の信頼を得ていることにあるようです。
2000年頃から「泥んこバレー大会」が全国的に広がりましたが、これらは商業的要素が強く、私たちが目指すのは地域の方と地域外の方がつなげる活動でした。私たちが最初の取り組んだ「ご当地バレーボール大会(泥んこバレー)」は茨城県筑西市でした。
プランニングにはこだわりました。地域の人と、電線一つ無い「地域に映える場所」を徹底的に探し、筑波山を背景にして、その横に“ひまわり畑”を作ったことです。そこでバレーボールをして、インスタ映えする写真や動画をあげて、人気スポットを作る活動へとつながりました。
地元の方が「こんなに不便な土地に若い人など来ない」と言われていた所に、若い人が集まってくる実績から、成功体験を感じてもらいました。実際に、参加した女性参加者のインスタグラムなどへの投稿から、「泥んこになれる場所」「満開のひまわり畑」「写真を撮って楽しい」ということが伝わったといいます。そして、投稿した女性を中心に翌年は参加チームが倍増する程、より多くの参加者が集まりした。
大会の運営や経費などをマニュアル化しており、このマニュアルを持っていることを聞きつけた地域から「私たちの地域でもやってほしい」と依頼が来ているといいます。
「泥んこバレー」を行なった茨城県筑西市では、多くのお客様を受け入れた経験から、新たなプロジェクトが生まれました。
そのプロジェクトは、毎日約2トンの余剰野菜が廃棄されている地域の課題に着目しました。この余剰野菜をダチョウに食べさせることにより、肉として販売し、家畜の排尿を堆肥にして土壌を整え、作物を作り、加工するという循環を、休耕地を使って作ろうという動きに発展しました。
大分県宇佐市では麦焼酎「いいちこ」を作るときの残渣を使って土壌改良した循環も生まれています。岩手県二戸市でも日本酒の「南部美人」とコラボしながら、地域振興する取り組みも行いました。福井県南越前町では、泥んこバレーのような企画を象徴に地域体感宿として地域交流を目的としたゲストハウスが誕生しました。これらの取り組みは、若い人に来てもらい知ってもらうキッカケをつくるために「泥んこバレー」を広報的な活動として活用しました。
プロセスを整理すると、分かりやすい企画(泥んこバレー)を実施し、地域活動のコミュニティづくりに4年間ほどかけて、新たな産業創出して、若手の育成及び事業継承できる仕組みを作っていくことを目標としています。現在の地方部は、若手が夢を持つことができる仕事を作ることが大切だと考えます。
“外から来る移住者に頼る”のではなく、外の人と地元の人の知見を合わせることが大切なのです。そのためにファンを作る仕組みは、「営業」するのではなく「視察したくなる」、「広報」するのではなくて「参加したくなる」、学び方も「受講する」のではなくて「実践したくなる」仕組み、楽しみながら作ることが大切だと思っています。
通信回線も2000年3G時代は文字ばかりの情報、2010年4G時代はスマホが登場して画像を送る時代、2020年5G時代は動画配信が主流に変わってきています。
最近は、シニアも「LINE」を使う人が増えています。その理由は、コロナ禍において、孫の動画や写真を楽しみにしている人がより増えたからです。また、シニア層とYouTubeはとても相性が良いです。なぜなら、LINEで送られてきたWebサイトのURLは怖くてクリックできないといいます。しかしながら、送られてきたYouTube動画は、動画が埋め込まれて送信されるため、何の動画かわかるため、安心して視聴することができます。私たちは、地域の活動をなるべく動画にまとめるようにしてきました。その結果、地域のシニアの方々のお喋りのネタとして、地域活動の動画を見て楽しんでもらい、応援してもらえるようになりました。
このように世代を超えて地域活動を楽しむことができるようになった活動は、とても大きな成果だと思っています。
5Gの時代は、より情報が拡散されると考えられます。そのため、これまでのような“webページをSNSで拡散する“のではなく、”SNSで拡散された情報を、信頼できるwebページに集約“するというWebページの在り方も変化すると考えます。私は、このWebの活用を考えるにあたり、これまでの地域のみなさんの反応を活かして、動画の活用方法に力を入れることにしました。
しかしながら、私が力を注いだことは、YouTuberのように配信数で収益を上げる考え方ではなく、広報・PR・知名度向上を目的として、Web上での“検索ヒット率”を上げる考え方です。
↓ 地方創生詞「Broup」 https://www.youtube.com/channel/UCxpTQwuCfT6U55zuH21ri6A
そこで始めた活動が、大学生が地域の活動やその思いを伝える「Social Design Girls17」です。2020年年始に新型コロナウイルスの影響で地域企画の実施が困難になると予測し、集客イベントではなく、少人数で地域の魅力発信になる活動を行おうと早めに行動を起こしました。
この企画を考えたきっかけは、「ご当地バレーボール大会」などに参加した女学生に、「地域のおじいちゃん達をインタビューしてもらえないか」とお願いしたところ、「お役に立てるならやりたいです」ということで始めることになりました。
この企画は、地域側のメリットではなく、大学生側のメリットも考えることにこだわりました。大学生が地域とか関わるメリットを明確に持って欲しかったからです。そのため、大学生が将来的に就活や論文作成、さらには企画書作成などに役立つよう構成や演出を学べるコンテンツとしました。大学生は、この企画への参加を通して、社会人になる心構えを身に着けます。具体的には、「社会性(コミュニケーション能力)」「論理性」「主体性」を磨き上げていくことを目標としています。
この活動の結果、私たちの動画は、Googleで検索上位に持っていきやすいプラットフォームを作り上げることに成功しました。「地方名
地方創生」「地方名 SDGs」などと検索し、範囲を「動画」に絞り込むとエピテックの動画が1番など上位に検索されます。「茨城県筑西市 SDGs」で検索すると「すべて」の項目で検索上位に出てくるようになりました。
私は、誰が見ても客観的に認めざるを得ない地域活動の成果を目標としてきました。
地域のみなさんの頑張りや想いを客観的に評価してもらいたいと思ったからです。この動画の検索上位になる結果は、客観的な成果として表れています。したがって、このような結果を作ったことによって、多くの人に認められ、私たちの言葉の重みが変わって来たという実感を持っています。この成果は、地域のみなさんの思い合っての成果であり、良い人間関係が築けた結果だと思っています。全国の地域のみなさまに感謝が尽きません。
また、コロナ禍で活動することができなくなった学生が、この動画を見て「那須塩原市に住み込んで活動をやりたい」と売り込みに来てくれました。大学生版のワーケーションともいえる「スタディケーション」という形で大学生が住み込みで活動するというモデルも動き始めました。このように動画配信をきっかけにインタビューに答えてくださった地域のみなさまへの取材依頼や、新たなお客様獲得にも繋がり始めたケースもあるようです。
河内長野市の取り組みでは、河内長野市の魅力を発信するとともに、旅館「南天苑」では、未来のお客様づくりの視点を持って動画を撮影しました。ここでは、インタビューした学生は、夢への第1歩として、新たな活躍のきっかけになりました。
このようにこれからの時代は、地域のニュースとなる取り組みは、自ら作り出すことができる時代になったといえます。安価に負担を下げて、たくさんの話題を作り、楽しい様子を発信することが知名度向上への第1歩だと考えます。
まとめますと「ファンを呼び込むコミュニティ」とは、カリスマ性のある人がいて、そこをつなぐ若い人などがいて、ファンを作っていく、そしてモノ・コトを作っていきます。
そのためには、地域との関係づくりが要です。だいたい4年間下積み期間がかかりますが、根気強く取り組んでいます。
「観光」は地域の人たちがコンテンツを作り、お客様がいて成立します。
これまでのお客様の観光する目的は、「ストレス発散」「思い出づくり」「家族サービス」「趣味の満喫」「自分探し」などだったのですが、新型コロナウイルスの影響で目的が達成できなくなってきています。コロナ禍で新たに、「都心離れ」「静かな場所で特別な時間」「他拠点生活」などのニーズも高まってきました。したがって、アフターコロナの時代における観光は、これまでの目的に加えて、「都心離れ」「静かな場所で特別な時間」「他拠点生活」などのニーズも考慮する必要があると思われます。このようなニーズを地域の人が汲み取って、都心疲れをした人を受け入れる環境を作ることが大切です。そして、このようなサービスを地域の人と地域外の人と一緒になって作っていくことが、本来の「地方創生」につながると思っています。
近年の顧客のニーズは、「快適感」「贅沢感」「特別感」でした。これからの時代は、これらに加えて「仲間感」というものが重要視されると考えます。これから元気になる地域は、地域の人が地域外の人を受け入れ、一緒になってモノ・コトを作っていく時代だと思いますと結ばれました。
【Q&A】
Q1(星乃):自治体と話をするとき、事業の目的を求められることが多いと思うのですが、いかがですか?
A1:自治体案件の場合、結果的には、課題から目的を描く形でストーリーを作ることになると思います。その場合は、最初に自治体の方に「この事業の中心になって活動してくれる地元の方はおられますか?」とお尋ねします。そして、地元の方の思いを組み上げて、その思いが自治体の掲げる課題と合致しているかを考えて、伴走するのが私たちの役割だと思っています。
自治体さんは「絵に描いた餅」のようなストーリーをあげられることが多いです。その場合は、「誰がやるんですか?」と問い返しています。たいていの場合は、「誰もいないです」との答えが返ってきます。しかしながら、一所懸命頑張っている方はおられます。すなわち、「誰もいないのでなく、探す気が無かった」というケースがほとんどです。そのため、「そのような方を探しにいく」ここがスタートだと思います。事業の本当の目的は、地域で実戦してくださる方を見つけ出すことだと思います。
Q2(福嶋):地元のキーマンとの関係を大切にした後、キーマンの方に成功するように持っていくのには、どのようにすれば良いでしょうか?
A2:あまり高い目標を掲げないことです。キーマンの方が「何かをやりたいと思っている時に、孤独を感じているケースがままあります」、その方は「シンプルに話を聞いてほしい」だけの場合もあります。一緒に話を聞いて、それを形にして、それを積み上げるだけで、信頼関係はできて、成功に近づくことができます。関わる立ち位置も大切です。私のようなよそ者が関わる場合、成果は、地元の方のものにしておくことが大切だと思います。
Q3(釼菱):地域の子供達が大学に出て行った後、地域に帰ってきてもらうために、子供達に地域のことをよく知ってもらったり、大人たちと付き合ってもらったりすることが大切だと思うのですがいかがでしょうか。
A3:地域の子供達との触れ合いは、親御さんの賛同も必要になり、一番必要なことは「ママさん世代にどうコミットしていくか」が課題かなと思います。今の時代、子供達を危険にさらしたくないとの感情を持つ方が多く、親子の体験企画を作っていくことも大事だと思います。
茨城県筑西市で取り組んで良かったと思う事例として、地域おこし協力隊制度を活用して、「大学生が週末など月8日間活動」するとうものがあげられます。先ほどの質問で、京都府北部で活動されているとおっしゃっていましたので、同じように「京都市や大阪市などの大学に通っている学生に週末だけ地域で活動してもらう」制度を地元の自治体が作って、大学に行く前の高校生のうちに知ってもらい、ロードマップを引いてあげることが大切だと思います。
今年度より、総務省の「地域おこしインターン」という制度が始まりました。例えば夏休みなど長期休暇中に参加しやすい制度を作ることもできると思います。
第1回連携フォーラム「シリコンバレーのエコシステムから学ぶ」(会員限定)
第1回連携フォーラム「シリコンバレーのエコシステムから学ぶ」(会員限定)
関西ベンチャー学会と米国シリコンバレーの非営利コンソ-シアムJABI(Japan America Business Initiatives)との提携を記念して第1回連携フォーラムを次のとおり開催しますので、ぜひご参集ください。
1.テーマ:シリコンバレーのエコシステムから学ぶ
2.日 時:日本時間 2021年10月24日(日) 10:00-12:00
3.目 的:関西ベンチャー学会とJABIメンバーとの今後の友好・交流・情報交換を促進するために
連携フォーラムを開催し、フラットでオープンなフリーディスカションを行います。
4.対 象:関西ベンチャー学会員10数名 ・JABI会員 数名 20名程度
*今回は双方の会員限定とします。
5.方 式:ZOOM方式
お申込みされた方にZOOMアドレスをお送りいたします。
6.プログラム(予定): 司会:釣島平三郎氏
・関西VB学会あいさつ 会長 定藤繁樹氏
・JABIあいさつ 創設者・理事 大永英明氏
・講演 シリコンバレーのエコシステム 大永英明氏
質疑応答
・パネル/フリーディスカション パネル各10分プレゼンテーション
①SVでのEV開発動向(トム岡田)
②SVでのバイオビジネスの動向(二村晶子)
③コロナによるVC/VBの変化(海部美知)
<自由テーマ>
関西ベンチャーの特徴・現状
コロナ禍と経済回復、
今後のフォーラム・研究会などの連携可能性ほか
■申し込み
関西ベンチャー学会事務局 西森綾子様 info@kansai-venture.org
TEL:072-688-7277 FAX:072-688-7277
講演概要『訪日ゴルフ旅行の魅力と潜在マーケット、そしてオーストラリア人の訪日ゴルフの可能性!』
7月13日の「文化観光研究部会」は新しいゴルフツーリズムへの挑戦について、(株)PGJ代表の西本直樹さんに語っていただきました。
日本は、米国、カナダに次ぐ世界3位のゴルフ場保有国で、丘陵地を巧みに利用した多彩なコースが約2,300もあり、ゴルフ場の質の高さも 海外ゴルファーの高評価を得ているという西本さん。 今は訪日旅行もままなりませんが、これからの外国人による観光は、 自然を活かしたウォーキングなどアウトドアに変化してまいります。そのような背景のなかで、日本でのゴルフは注目されています。 2018年に(株)プレイゴルフジャパン(2021年7月(株)PGJに社名変更)を設立し、神戸・兵庫ゴルフツーリズム協議会などで活動される西本さんから、アフターコロナの取り組みについて、お話をお伺いしたいと思います。
PGJの企業理念は「『ゴルフ×観光』で日本の魅力を世界へ!」で、ゴルフ旅行専門のDMCとして、オリジナルな体験ツアーを提供する事業に取り組んでおられます。 事業の特徴は、海外のゴルフ場と日本のゴルフ場を提携させて、お互いのメンバーを交流試合などで行き来させるスタイルにあります。第1号は2019年マレーシアのゴルフ場と日本のゴルフ場を提携させた交流試合でした。
2005年に渡米し商社で働き、これまでの経験と語学力を活かした新しいマーケットで活躍したいと思い、2018年に起業されました。
ターゲットを東南アジアに絞られました。2018年におけるインバウンドの延べ宿泊総数8357万人泊の内、マレーシア100万人、インドネシア118万人、シンガポール196万人、タイ296万人と拡大しており、英語が通じること、海外のゴルフ場へ行くアクティブなゴルファーが多いこと。また、日本からのゴルフ旅行先として、近くて、気候の良い場所として選定したとのことです。また、インバウンドは大阪、京都に宿泊される方が多く、マレーシア20%、インドネシア23%、シンガポール19%、タイ14%、オーストラリア24%と、関西はポテンシャルが高いエリアです。
ゴルフ場は、マレーシアに200コース、シンガポールに21コース、インドネシアに150コースあります。
また、18コースあるゴルフ場には1500〜2000名のメンバーさんがおられ、そのうち海外でゴルフをするアクティブなメンバーさんは400〜500名。また27コースあるゴルフ場には2500〜3000名のメンバーさんがおられ、アクティブなメンバーさんは1000名おられるので、この3ヶ国400コースには、海外でゴルフをするアクティブメンバーが500名いると推定すると、20万人の潜在顧客になります。海外のゴルフ場など送客側は現地のパートナー企業が行い、日本側はPGJが日本のゴルフ場との折衝など受け入れ側の業務を行います。また、ゴルフツアーと言いながらも半分は観光を楽しまれます。
交流試合をする時には、日本人と相手国のメンバーが一緒にコースを回るのですが、ゴルフをプレーするという意味では、会話にもあまり困ることもなく、和気藹々と楽しまれています。
また、訪日客向け「手ぶらゴルフ」というサービスも神戸観光局の協力を得てされました。ホテルにチラシを置き、インバウンドのお客様がクラブやシューズはレンタルして、手ぶらでゴルフに行くサービスです。2019年に催行されたのですが、ゴルフ場は、これまで大勢のインバウンドを受け入れたことが無いと心配され、「ゴルフ場のマナーやエチケット」を先方に伝えるなどのサポートが重要なポイントだといいます。
次に今、検討を進めておられるオーストラリア市場のお話でした。オーストラリアのJAMS,TV社とともに、オーストラリアから訪日するお客様にゴルフをしてもらう企画です。オーストラリアの訪日需要は伸びており、2019年に一人当たりの旅行消費額は25万円となっており、今後、ゴルフ需要の可能性も高いとみられています。オーストラリアのゴルフ人口は、年間約100万人で人口の約5%。男性8割割、女性2割。大人の人気スポーツ4位。市場規模は8億2000万豪ドル〜10億9000万豪ドル(日本円で約700〜900億円)あります。
またオーストラリアからゴルフ目的の旅行者の一人当たり平均消費額は2017年に7380豪ドル(61万円)で、海外の市場規模は約150〜200億円あります。低価格の中国、東南アジアの人気が高いのですが、ゴルフ目的での訪日も3,2%(2017年JNTOインバウンド調査)ですが始まっているとの話です。オーストラリアの海外旅行者数は2017年度912万人と、過去10年間で2倍に増え、訪日オーストラリア人も2019年は62万人と、過去6年間で2,5倍に伸びており、平均滞在数は約13,2泊と長期滞在の傾向があります。
アジア圏へのゴルフ旅行が増え、訪日観光客も増えているので、認知度が上がれば、スキーのように大勢のオーストラリア人が訪日する可能性は高いので、頑張りたいと講演を締めくくられました。
【質疑応答】
Q1:日本のゴルフ場は他国と比べて、どこが魅力的なのでしょうか?
A1:東南アジアのお客さんは、熱帯地方なので、コースの中に生えている草木も全く違って、紅葉などもなく、紅葉の中のゴルフ場が素晴らしいと言われています。日本のコースは丘陵地帯なのでアップダウンがあり面白いと言われます。また海外に無い電磁誘導カートも人気でした。また、ゴルフと観光を楽しみに来られますが、ゴルフが好きな方が多くて、目的はゴルフのウェートが高いようです。
Q2:海外でゴルフをされる方は富裕層だと思いますが、マレーシア、シンガポール、インドネシアの富裕層で年収はいくらくらいでしょうか?
A2:現地のゴルフ場の会員なので富裕層になります。年収で言うと800万円以上の方が多いです。経営者クラスの方には2000万、3000万もざらにおられます。
Q3:オーストラリアのサイトで日本のゴルフ場が紹介されていたのは、兵庫、三重、沖縄、高知、茨城でしたが、プレゼンで紹介された北海道が出ていないのには理由があるののでしょうか?
A3:北海道も候補であるのは間違いありませんが、自治体の協力がないと話が難しいです。ゴルフ場を取りまとめや、写真の提供が必要になります。(サイトの掲載は無料です)また、北海道でゴルフをされた方は、北海道が一番だとの声もあります。
Q4:自治体と連携してゴルフ場展開されているとお聞きしましたが、ゴルフ場マネージメント会社と連携しないのは何故ですか?
A4:日本にはゴルフ場マネージメント会社は、「アコーディアネクストグローブ」と「PGM」2社がありますが、本社で一括管理されており、話が進みにくい面があります。小さなゴルフ場を運営されている所は、支配人クラスの方が直ぐに本社に話を持ち上げてくれます。
補足:ゴルフをするインバウンドでは韓国と台湾が一番多いのですが、東南アジアに絞っておられるのが西本さんの事業の特徴です。また「手ぶらでゴルフ」も、今後、大阪関西万博などでも需要が見込めるので、応援してあげていただきたいと思います。
講演概要 オーバーツーリズムを考える!『今、観光地で起きているコト ☞ 誰がどうする 』
今、観光地で起きているコト ☞ 誰がどうする ーアンケート調査を参考にー
(2021年9月13日 参加者40名)
https://note.com/masaru_hoshino/n/n1bc9338aea67
訪日外国観光客の急増、そして2014年には、インバウンドがアウトバウンドを超え、インバウンド時代の幕開けとなりましたが、2020年、新型コロナによりインバウンドは停止しました。
インバウンドの増加とともに、特定の観光エリアでは観光客を受け入れるキャパシティを超 2019年、日本国際観光学会に「オーバーツーリズム研究部会」を立ち上げ議論を重ねてきました。人流が止まった今だからこそこの問題にじっくり取り組めるのではないかと、現状と課題を鮮明にすべく実施したアンケート調査の結果をお話しさせていただきます。オーバーツーリズムにおける観光地の課題を考えるにあたっては、商品のライフサイクルをモデルにした「バドラーの観光地ライフサイクルの概念図」が基本的な考え方となっています。
京都市、鎌倉市、川越市では外国人観光客はいずれも急増傾向にあり、国と同じ傾向を示しています。しかし、京都市と鎌倉市は観光客全体数が近年減少傾向を示しており、これは日本人観光客がかなりの割合で減少していることを示すもので、注目すべき一つの課題です。また、川越市は全体の観光客は増加傾向にありますが、観光客数の多さを追求するのみでは、オーバーツーリズムによる観光公害とも呼べる状況が生じるのではと危惧されます。
自治体の課題を議論する場である市議会の議事録から、「観光+外国人」「観光+マナー」に対する発言、「観光+混雑」「観光+渋滞」「観光+ゴミ」「観光+トイレ」という発言を見ますと、京都市と鎌倉市では観光客の増加に伴い、これらの発言も量的、内容的に変化が見られますが、川越市ではまださほど問題とされていない状況にあります。
川越市は、人口35万4千人、都心から30kmに位置し、ベッドタウンとして人口増加が続いています。江戸時代、舟運により商業の町として発展し、江戸文化が残されており、「小江戸・川越」と称されています。町並景観は、明治26年の大火後に建築された外壁を黒漆喰塗とした蔵造の商家建築が主役になります。ここは川越商業の中心地でしたが、交通の発達とともに中心は駅周辺に移り、1950年代~1970年代にかけて衰退していきます。1970年代初頭、町並みの価値の再発見、そして、1980年代の住民が主体となった「活用と保存」活動の高まりに伴い、まちが活性化していきます。1989年のNHK大河ドラマ『春日局』で注目が集まり、首都圏を中心とする年間730万人の観光客が訪れる観光地になっていました。
アンケートは、観光地のステークホルダーである「観光事業者と住民(観光事業者ではない)」を対象に実施しました。共に、歴史文化のあるまちへの誇り、そしてアイデンティティの強さがうかがわれますが、観光事業者と住民間には現状認識に違いがあることも明らかになりました。事業者はもっと観光客が増えることを望み、住民はこれぐらいでいいと思っています。有名になることで経済が潤ったと捉える事業者、注目されて誇りに思う住民の姿が見えます。
9割近くが「今後オーバーツーリズになる」と予測しており、 観光客が増えることで想定されるプラス面は「経済や地域の活性化」ですが、マイナス面は「混雑問題」と「ゴミ問題」、次いで町の「イメージダウン」や「らしさが失われる」ことと言及しています。
また、注目したいのは、住民の声の中に「観光客への迎合は、結局は観光客に見放される」「観光地の評価が上がり、地価が上がることで商業活動の低下を招く可能性がある」との声が有ることです。すなわちこの地の価値の低下です。
(コロナ前の)観光地としての課題認識では、「混雑」「危機対応」と「食べ歩き」を問題とする方が多い結果となりました。「混雑」については、行政では「一方通行」を何度も試みますが、総論賛成、各論反対で実施には至っていません。また食べ歩きに伴う「ゴミ問題」は、事業者の自助・共助努力がなされている一方、「食べ歩きのゴミは産業廃棄物」「税金を使うのは」の声、「ゴミ箱の設置はゴミの元」との意見もあり、これらも結論が出るには時間を要するでしょう。
近年、「食べ歩きのまち川越」としてメディアで取り上げられることが多く、食べ歩き食品を買い求める人の行列、歩きながら食べる姿が非常に目立ちます。
A~Dの立場の違いによってとらえ方が大きく異なっていますが、共通するのは 「まちのイメージに良くない」ことから、「マナー」として観光客に協力を求める意見や「ゴミ箱の設置」の意見が出ています。観光客も単に「お客様」ではなく、ステークホルダーの一員として、観光地の価値を持続させることに関与し、その責任の一端を担うことが求められているのではないでしょうか。
観光地には、「観光客」「事業者」「住民」「行政」それぞれのステークホルダーがいます。観光地は「人」と「文化」の交差点とかしなければ」の意見が出ては消える状況が続いています。
今回事例として取り上げた川越市に限らず、観光客の多さは地域を元気にしてくれますが、同時に自然環境や人びとの生活環境にも影響をもたらします。消費対象としての観光地でなく、地域の価値を持続し、観光地としての魅力を保ち続けることが求められます。交流人口を増やし経済効果を図りつつ、ネガティブな現象を回避する対策をとる必要があります。
ポストコロナの観光は、持続可能な観光(SDG s)の観点や、観光地の人たちだけではなく、観光客も共に責任を担うレスポンシブルツーリズムを実践することではないでしょうか。そして、その地が積み重ねてきた歴史、文化、人々の生業といった地域の文脈を踏まえた新しい価値を積み重ねていくことではないでしょうか。
【ディスカッション】
金子:私は、川越の隣接地域に住んでいます。私の記憶では、川越が便利になったのは埼京線開通などでアクセスが改善された約30年前で、観光地化したのが10年くらい前からだと思います。川越市民には、「古くから住んでいる市民」、埼京線が通って「住みやすくなったから移住してきた市民」、「観光地になって入ってきた市民」の3パターンがあり、“亀屋”のような地元銘菓の老舗は観光客も歓迎だが、地元民住民を客としていた古くからの商店は困惑しており、観光地化してから入ってきた事業者さんは「稼ぎたい」と思っておられる。この渾然一体となっているのが川越であり、観光を研究するのには非常におもしろいモデルだと思います。
野杁:川越の家主さんと入居事業者との関連はいかがでしょうか? 長い目で見て価値を上げていきたいので、良い事業者に入ってもらいたいと思う家主さんもおられるでしょうか?
井上:調べたことが無いのでどのような関係になっているかの現状はわかりません。私の印象ですが、町並みに新しく入られる事業者さんは、全国展開される店舗などが多く、地域のことを考えて入ってこられる事業者さんは、少ないと思っています。ただ、商業を営んでいく過程で、町への関心を深め、商店街の会で積極的に活動されている方もいらっしゃいます。蔵造をテナントとするのはいろいろな経済的理由がありますが、とはいっても、文化財保護法の「伝統的建造物群保存地区」となっていて、改修・修復などに何らかの公費助成も受けていることを考えれば、経済性だけを優先することには疑問を感じています。ここ10年ぐらいでしょうか、町並みの通りからちょっと外れた通りでも、普通の民家がお店になってきています。
金子:川越も、蔵の街から少し離れた地域で「古い建物を守ろう」という“家守会社”を作っているグループもいます。古い建物をリノベーションしている会社なので、家主の許可を得て、リノベーションして地域と共生できる事業者さんに入居してもらっている地域もあります。川越の蔵町の周辺にも古い建物がたくさん残っているので、エリアを広げて考えると良い地域になりそうです。
清水:弟の嫁が川越で古着屋をやっており、川越のまちづくりについて相談を受け、アドバイスさせてもらったその一つが「電柱を無くすこと」であり、もう一つが「古い料理をきちんと残すこと」でした。京都でも「無電柱化」を推進し、「古い料亭」は流行っています。また京都の五条坂には「食べ歩きのお店」がほとんどありません。それが出来た理由は、「売りに出た物件をすぐに地元団体が購入して、自分たちの眼鏡にかなった人しか入居させない」としたからです。自分たちの街を、自分たちで守らないと無茶苦茶になってしまいます。
佐竹:オーバーツーリズムになるのは日帰り観光客の問題です。宿泊客だけではキャパオーバーになることはありません。私がJAL京都支店にいた時、“アンノン族”でオーバーツーリズムが起こりました。近所のお店にお客さんが殺到して、一旦営業を停止した後、値段の高いランチメニューが作られました。この時、常連客にクーポン券を配り、クーポンを使うと従来の価格で食べられる仕組みとされたのです。ここで大切なのは「常連客(リピーター)を大切にした」と言うことです。川越も誰がリピーターのお客様かを考える必要があると思います。「商人の会」が、住民意識を一つにしていく合意形成の場であってくれれば良いのですが…。
金子:「川越カイギ」というまちづくりの会議のモデルは熱海です。熱海は、かつては新婚旅行のメッカ、次は団体旅行のメッカ、そして男性の旅行のメッカと変遷した後、衰退しました。今のお客さんは若い人ばかりです。年寄りは住んでいる方です。そして若い事業者のメンバーが「熱海カイギ」と言う場を作り、市長も商工会議所もバックアップして、街が変わっていきました。「川越カイギ」は、商人の会だけでなく、蔵の街だけではなく市内の幅広いエリアの市民等が参加しているものです。
星乃:私はアンケート調査結果から、合意形成しやすいのは「食べ歩き」ではないかと思いました。ステークホルダーが大勢おられると言うのも、どこも共通なので、合意形成しやすいものを求めていく議論をされたら良いのではと思いました。
釼菱:舞鶴でも観光客を呼び込もうとしていますが、宿泊施設はこれまでビジネスホテルしかありませんでした。そこにゲストハウスなどができ始め、これから宿泊施設の多様化が進めばと思っています。宿泊施設が無いとリピーターを作れないという問題も感じます。
佐竹:宿泊施設は最大の経済効果をもたらしますので多様化していくことは大切です。また、宿泊観光客に24時間満足させるものを用意しなければならないので、満足できるものを整えるのも大切です。地域に魅力がなければ宿泊客は来てくれません。
野口:奈良で「観光の目的」について議論した時、「人と人との交流であろう」と言うことになったのを思い出しました。川越の話を聞いて、地域の観光に思いを持つ次の担い手たちの議論する場があれば良いなあと感じました。
遠藤:オーストラリアは行政の力が強いので、ロックダウンのように強い強制力も発揮できますが、川越のように、地域のステークホルダーの人がディスカッションして合意形成していくことの大切さも、今日、楽しく勉強させていただきました。一つ気になったのが「旅行者の視点」です。旅行者の方とのコミュニケーションも取り入れていただけるとより良くなると思いました。
佐竹:日本も80年代に海外旅行ブームになりたくさん恥をかきました。それを旅行者にどう伝えるのかディスカッションして「実態をフィードバックするしかない」、その伝え方は “ささやき”が一番だと言うことになりました。例えば、ディオールの店でネクタイを「ここからここまで全部」と買ったOLがいたとして、それを見たパリジャンが「あの人は凄い、ボーイフレンドがあんなにいるんだ」と語ったと、旅行会社の人に“ささやく”と、旅行会社の人は説明会で「とっておきの情報です」として伝えてくれる。この情報は「他所では言わないでください」といえば言うほど伝わります。旅人も「このような旅がしたい」という思いを持っておられるので、「日本では、このような旅のスタイル」というような台本を作ることが大切だと思いました。
知的財産研究部会開催(11月6日)のお知らせ
関西ベンチャー学会知的財産研究部会開催のお知らせ
日時 11月6日(土)10:00~11:30
ZOOM開催
ご講演題
「(仮題)大学発ベンチャー育成:産官学連携の現場から(法務や知財の話題を中心に)」
講師ご紹介
弁護士法人SACI 京都アカデミア法律事務所
弁護士 岡 本 哲 也 様(関西ベンチャー学会会員)
京都アカデミア法律事務所は、京都大学産官学連携本部法務部門に所属していた弁護士が京都大学キャンパス内に設立された法律事務所に移籍されたことによりスタートしました。日本及び世界の大学による学術成果を社会に実装することを法的側面から支援することを使命とされています。
岡本哲也弁護士は、関西経済連合会にて、ベンチャービジネス創出・育成関連業務、規制改革関連業務などに従事された後、法科大学院を経て弁護士登録されておられます。京都大学産官学連携本部法務部門では、クリニカルバイオリソース活用会社の設立をめぐる法的ストラクチャー構築関連業務を主任された他、英文契約を含め年間200件を超える研究契約支援法務を担当されてきました。また、ベンチャーキャピタルによる投資案件や、京都大学内外のベンチャー企業からの多種多様な相談案件など、ベンチャー関連法務を多数担当されておられます。
参加ご希望の方は林(shigeki.hayashi@oit.ac.jp)までご連絡ください。
ZOOMのURLをご連絡いたします。
参加よろしくお願いいたします。
9/13 文化観光研究部会は「オーバーツーリズム」を考えます!
第67回文化観光研究部会(9月13日=オンライン)のお知らせ
欧米諸国でコロナワクチン接種も進み、外国人観光客を受け入れて、社会・経済活動を本格化させています。
そしてコロナ後、再び来ると予想 されるオーバーツーリズムを前に、「本来求められる観光」「次世代の観光」
のあり方を考えなければならない時期を迎えています。
「小江戸川越」と称される埼玉県川越市も。観光客700万人超える観光地ですが、観光関連事業者や一般住民に対して、2019年から2021 年にオーバーツーリズムに関するアンケート調査を行っておられます。
この調査を行なって来られたオーバーツーリズム研究部会代表の井上様に、アンケート結果から見えるアフターコロナ時代の観光について
問題提起をいただきたいと思います。
日時:2021年 9 月13日 (月)
19:00〜19:45 井上晶子様の話
19:45〜20:05 各地の観光の定点観測
(オーストラリア、知床、京都府の予定)
20:05 カンパイ
20:05〜21:00 意見交換
ゲスト:井上晶子様 博士(観光学)
日本国際観光学会オーバーツーリズム研究部会代表
立教大学観光研究所 特任研究員・杏林大学 特任講師
http://www.jafit.jp/taikai/
テーマ:ウィズコロナ・ポストコロナの観光 8
「アンケート調査に見る、今、観光地で起きているコト 誰がどうする!」
参加費:500円 (主催者会員・学生は無料です)
主催:NPO法人 スマート観光推進機構、関西ベンチャー学会 文化観光研究部会
協力:なにわ名物開発研究会
申込み:https://kanko45.peatix.com
連絡先:星乃 mail:hoshino3014@gmail.com
(090-5645-1710)
※ お申し込みの皆さんに、Zoom招待メールをお送りいたします。