大会

関西ベンチャー学会第18回年次大会のご報告 

「起業家精神の育成」

関西ベンチャー学会第18回年次大会は、2019年2月23日(土)に関西学院大学大阪梅田キャンパスで。延べ83人の参加で行われました。
午前10時30分より行われた大会では、午前中に会員総会と会員研究発表が行われ、午後からは、シンポジウムと学生ビジネスプラン発表会が行われました。会員研究発表では5組の研究発表に加え、㈱グランディーユ 代表取締役小笠原恭子氏による特別講演が行われました。小笠原恭子氏は本学会年次大会の学生ビジネスプラン発表会の優勝者経験者であるとともに、現在、経営者として活躍されている立場から「起業家精神論」について講演していただきました。

 
昼休みの理事会をはさんで、午後からのシンポジウムでは、「起業家精神の育成」というテーマで木谷哲夫京大教授、小野邦彦(株)坂ノ途中代表取締役、岩崎拓弥KPMG FAS執行役員パートナーの3人の報告者によるパネルディスカッションが行われました。それぞれEntrepreneurship(育成環境:木谷教授)、Society(企業環境:小野代表取締役)、Finance(企業資金・CVC:岩崎執行役員)の観点からの報告を踏まえ議論が行われました。続いて行われた学生ビジネスプラン発表会では、関西の4つの大学の学生たちが独自のアイディアを発表し、審査委員とフロアから貴重なアドバイスと質問を得ました。審査の結果、追手門学院大学による「プロエレ:プロジェクション・エレベーター」が最優秀賞に輝きました。夕方に開催された懇親会では、学生ビジネスプラン発表会の表彰式も行われ、すべての参加大学に、表彰状と賞金が贈られました。懇親会は会員、非会員、学生たちが一堂に会し、活発な意見交換や交流の場とすることができました。

 

関西ベンチャー学会  第18回年次大会プログラム 

[ ] 

グローバル社会においては情報通信、その他の技術の発展が経済・社会に影響を与えてきている。なかでも技術発展を背景とした起業家による新たな挑戦が社会・地域を活性化させ、既存の事業に置き換わり、変革をもたらしている。このグローバルな潮流に対して日本の起業は少ないとの見解がある。日本の起業環境を検証し、課題を考察することにより、「起業家精神の育成」についての提言を行い今後の経済・社会の発展を促進させたい。

 

[ 主 催 ] 関西ベンチャー学会大会実行委員会

大会実行委員長 淺野禎彦(公認会計士)、運営委員長 宮田由紀夫(関西学院大学副学長 国際学部教授)

[ 後 援 ]

関西学院大学イノベーション研究センター、近畿経済産業局、大阪府、公益法人関西経済連合会、一般社団法人関西経済同友会、大阪商工会議所、日本政策金融公庫、一般社団法人関西ニュービジネス協議会、日本経済新聞社大阪本社、毎日新聞社、日刊工業新聞社

 

 

日 時  2019223日(10:30~17:50 

会 場  関西学院大学大阪梅田キャンパス (阪急梅田駅茶屋町口) 

10:00 受付開始 10階1004教室

10:30~11:00 関西ベンチャー学会会員総会 (1004教室)

理事選挙投票開始(15時まで)

11:00~12:00 会員研究発表

 

特別講演・研究発表1 

コメンテータ 福嶋幸太郎 (副会長)  

会場: 1004教室  (発表20分、質疑応答5分 計25分)

発表時間 発表者 所属 テーマ

 特別講演

11:00~11:25

小笠原恭子  

㈱グランディーユ代表取締役

 

起業家精神論


研究発表11:30~11:55
河野万里子  

一般社団法人カラータイプ協会代表理事

著名起業家にみる起業家精神と成功・失敗パターンの考察

~カラータイプ理論からのアプローチ~

 

 

 

研究発表2 

コメンテータ :釣島平三郎 (常任理事)

会場: 1403教室   (発表20分、質疑応答5分 計25分)

発表時間 発表者 所属 テーマ

 11:00~11:25

 

野長瀬裕二  

摂南大学経済学部

教授

 

中小地ビールメーカーにおける商品ラインナップ拡大の事例研究


 11:30~11:55
松平好人

名取 隆

近畿大学経営学部・立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科 自治体の中小企業に対するイノベーション促進政策の効果        

―「大阪トップランナー育成事業」の事例分析―

 

研究発表3 

コメンテータ :文能照之 (常任理事)

会場: 1404教室   (発表20分、質疑応答5分 計25分)

発表時間 発表者 所属 テーマ

 11:00~11:25

 

赤松裕二  

大阪市立大学

客員教授

環太平洋大学

副学長・教授

 

化粧品会社のブランド戦略

-戦略の比較と背景についての考察-

11:30~11:55

稲田優子  

関西学院大学大学院経営戦略研究科

日本のビジネススクールにおける体系的なアントレプレナーシップ教育 −授業・ビジネスコンテスト・人的ネットワークの重要性−

 

13:00~15:30 シンポジウム (1004教室) コーディネーター 林茂樹会長

「起業家精神の育成」 

講演者・パネルディスカッション参加者

木谷哲夫氏
京都大学産官学連携本部 IMS寄附研究部門教授。東京大学法学部卒、シカゴ大学政治学博士前期課程修了(MA)、
ペンシルバニア大学MBA。マッキンゼー・アンド・カンパニー、日本興業銀行、メリルリンチキャピタルマーケット(NY)ほかをへて現職。

小野邦彦氏

株式会社坂ノ途中代表取締役。京都大学総合人間学部卒。外資系金融機関での「修行期間」を経て、2009年、株式会社坂ノ途中を設立。「100年先もつづく、農業を」というメッセージを掲げ、農薬や化学肥料不使用で栽培された農産物の販売を行っている。提携農業者の約9割が新規就農者。少量不安定な生産でも品質が高ければ適正な価格で販売できる仕組みを構築することで、環境負荷の小さい農業を実践する農業者の増加を目指す。東南アジアの山間地域で高品質なコーヒーを栽培することで森林保全と山間地での所得確保の両立を目指す「海ノ向こうコーヒー」も展開している。

 

岩崎 拓弥氏

株式会社KPMG FAS執行役員パートナー。St. Mary’s University, San Antonio Texas,
USA 会計学部卒。米国カリフォルニア州公認会計士。2001年米国KPMG入社。LAオフィスにて主に日系企業の監査に従事。2008年からKPMG FAS東京オフィスにてディールアドバイザリー部門に所属。日系企業のクロスボーダープロジェクトに従事。現在は、KPMG FASの事業企画部に所属し、日本企業のCorporate-Venture-Capital (CVC)に関わる支援業務に従事。中央経済社 「実践CVC~戦略策定から設立・投資評価まで~」(共著) 

 

1540 学生ビジネスプラン発表会

司会 横田常任理事                        

審査委員長 定藤常任理事 

審査委員 福嶋副会長、松村常任理事、井上監事、淺野常任理事

会場: 1004教室 (発表20分、質疑応答10分 計30分)

発表時間 発表者 所属 テーマ
15:40~16:10 藤田 勇士 四天王寺大学 しゅみ市場
16:10~16:40 矢川 実咲

兵庫 沙耶花

追手門学院大学 経営学部 マーケティング学科 プロエレ:プロジェクション・エレベーター
16:40~17:10 橘川真衣・重本明香里・藤内侑歩・浦野稜大・松井雄大 大阪経済大学

情報社会学部

自動運転支援に向けての地図更新情報配信サービス               M One Naviの提案
17:10~17:40 岩井 あやな 近畿大学

経営学部

Legame Beauty

 

17:40 閉会挨拶 大会総括 林会長

18:00~20:00 懇親会 ホテル阪急インターナショナル2階「バー・ケレス」、学生ビジネスプラン発表会表彰式

司会: 横田常任理事

挨拶・乾杯:林会長

学生ビジネスプラン授賞式 

受賞式の司会:松村常任理事、河野理事 

賞状授与:林会長

2000  閉会挨拶 :大会実行委員長 淺野常任理事 

 

関西ベンチャー学会第17回年次大会のご報告

「産学連携と大学発ベンチャー―大学等技術移転促進法の20年―」

関西ベンチャー学会第17回年次大会は、2018年2月24日(土)に関西学院大学大阪梅田キャンパスで。延べ65人の参加で行われました。午前10時30分より行われた大会では、午前中に会員総会と会員研究発表が行われ、午後からは、シンポジウムと学生ビジネスプラン発表会が行われました。会員研究発表では6組の発表に対して熱心な質疑応答が行われました。昼休みの理事会をはさんで、午後からのシンポジウムでは、「産学連携と大学発ベンチャー―大学等技術移転促進法の20年―」というテーマで 基調講演に続いて2本の報告があり、この3人の報告者によるパネルディスカッションが行われました。「大学等技術移転促進法」が期待された成果を上げていない点、大学教員にとっての産業連携のインセンティブの欠如、大学の知財戦略のあり方、教員間・大学間の役割の棲み分けの是非、産学連携を担う人材の問題、さらにはアメリカや中国のイノベーションの事例などが議論されました。続いて行われた学生ビジネスプラン発表会では、関西の4つの大学の学生たちが独自のアイディアを発表し、審査委員とフロアから貴重なアドバイスと質問を得ました。審査の結果、追手門学院大学のチーム2による「お年寄りと学生のルームシェア」が最優秀賞に輝きました。夕方に開催された懇親会では、学生ビジネスプラン発表会の表彰式も行われ、すべての参加大学に、表彰状と賞金が贈られました。懇親会は会員、非会員、学生たちが一堂に会し、活発な意見交換や交流の場とすることができました。

関西ベンチャー学会  第17回年次大会プログラム 

[ 趣 旨 ]
大学等技術移転促進法は1998年5月6日に制定され、1999年4月1日に施行された。同法は技術移転組織(TLO)に
政府補助金を支給し大学から企業への技術移転(特許ライセンシング)を促進する目的で制定され、わが国の産学連携推進策の嚆矢とも言うべきものである。大学と既存企業との連携と、大学発ベンチャーの設立とは決して二者択一ではなく補完的である。大学発ベンチャーは産学連携の成果を実用化するため、既存企業へのライセンシングには未だ萌芽的な技術をさらに開発するために教員・学生によって設立され、また、設立後も企業と連携していくことがイノベーションを生み出す。同法から20年近くを経て、今一度、産学連携と大学発ベンチャーの現状とこれからの課題を考察したい。
[ 主 催 ] 関西ベンチャー学会大会実行委員会
[ 後 援 ]
関西学院大学イノベーション研究センター、近畿経済産業局、大阪府、関西経済連合会、関西経済同友会、大阪商工会議所、日本政策金融公庫、関西ニュービジネス協議会、日本経済新聞社大阪本社、毎日新聞社、日刊工業新聞社
[ 大会プログラム ]
日 時  2018年2月24日(土)10:30~18:00
会 場  関西学院大学大阪梅田キャンパス (阪急梅田駅茶屋町口)
10:00 受付開始 10階
10:30~11:00 関西ベンチャー学会会員総会 (1004教室)
11:00~12:00 会員研究発表

研究発表1

コメンテータ :坂川弘幸(常任理事)
会場: 1403教室  (発表20分、質疑応答5分 計25分)

①11:00~11:25 野長瀬 裕二(摂南大学経済学部 教授)

テーマ:ICTベンチャー企業における医療機器事業拡大の事例研究

②11:30~11:55 赤松 裕二(大阪市立大学 客員研究員(環太平洋大学))

テーマ:楽器メーカーの製品開発戦略-イノベーションと製品戦略の考察-

研究発表2
コメンテータ :釣島平三郎(常任理事)
会場: 1404教室   (発表20分、質疑応答5分 計25分)

①11:00~11:25  福嶋 幸太郎(大阪ガスファイナンス㈱)

テーマ:企業内ベンチャーと独立系ベンチャーの比較研究

②11:30~11:55 稲田 優子(関西学院大学大学院経営戦略研究科 博士課程)

テーマ:アントレプレナーシップ教育における起業に関する適性への効果

-理工学学習者とMBA学習者のキャリア形成への示唆-

研究発表3
コメンテータ :清水宏一(常任理事)
会場: 1004教室   (発表20分、質疑応答5分 計25分)

①11:00~11:25 宮脇敏哉・庄司一也・寺田篤史(徳山大学)岩田一男(九州栄養福祉大学)

テーマ:中小企業クラスター地域の経営戦略調査研究(周南市地域の事例を含む)

②11:30~11:55 中村 晃司(関西学院大学大学院国際学研究科博士課程)

テーマ:地域イノベーターとしての大学―日米比較―

12:00~13:00 昼食休憩(理事会、1406教室)
13:00~15:30 シンポジウム (1004教室) ファシリテーター 宮田大会委員長
「産学連携と大学発ベンチャー―大学等技術移転促進法の20年―」
講演者・パネルディスカッション参加者
杉田定大氏(すぎたさだひろ)本会理事、東京工業大学特任教授/早稲田大学客員教授/元経済産業省大臣官房審議官
発表テーマ:「大学TLOによる知的財産戦略」
1980 年通商産業省入省、大臣秘書官補佐、在マレーシア大使館参事官、初代新規産業課長(ベンチャー振興、PFI 担当)、アジア大洋州課長、貿易経済協力局総務課長、知的財産戦略本部参事官、中国経済産業局長、大臣官房審議官など歴任。2010年より早稲田大学客員教授。主にベンチャー経営論、知財経営論、アジア政策などを担当。2016年4月から東京工業大学特任教授エッジプログラムデザインシンキング講座・ベンチャー未来塾担当、同年6月より一般財団法人日中経済協会専務理事に就任。

兼松泰男氏(かねまつやすお)本会理事、大阪大学産学共創本部
発表テーマ:「大学発ベンチャー施策をいかに活かすか」
大阪大学教授。産学共創本部共創人材育成部門専任。全学教育推進機構兼任。工学研究科・生命先端工学専攻・物質生命工学コース兼任。レーザー分光領域主宰。専門;光物性物理学。化学物理学。レーザー機器開発。アントレプレナー教育。2000年より、大阪大学大学院工学研究科助教授として、ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー(VBL)専任。アントレプレナー教育、ならびに、超高速レーザー分光法およびシステム開発に関する研究に従事。2004年より、大阪大学先端科学イノベーションセンター教授、工学研究科生命先端工学専攻兼任。アントレプレナー教育、融合型シース創生研究開発、イノベーション人材育成に従事。大阪大学知的財産本部知的財産推進部長(2004年-2008年)、大阪大学産学連携推進本部イノベーション創出部・部長(2008年-2010年)、大阪大学産学連携本部イノベーション部・部長(2010年―2016年)を歴任する。

2000年VBLに着任して以来、一貫して、VBL(サイエンス・テクノロジー・アントレプレナーシップ・ラボラトリー;e-squareに、2012年5月より名称変更)を基盤として、社会で活躍する人材を輩出するための大学の機能を創出・強化することに尽力してきた。「知的挑戦者の素養としてのアントレプレナーシップの涵養」と「大学のみならず広く社会で活躍する博士の輩出」に、「若手研究者の自立的組織化」に配慮しつつ、取り組んできた。また、VBLを拠点として、そのための実践的な学びの「場」を形成することに注力してきた。

斎藤 尚樹氏(さいとう なおき) 文部科学省科学技術・学術政策研究所 総務研究官
発表テーマ:「科学研究・知財創出・大学発ベンチャーの俯瞰と将来予測」
~ 大学のイノベーション・ポテンシャル把握、新規事業創出への橋渡し役の「成長」追跡に向けて ~
1987年 東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 修士課程修了
1987年 科学技術庁入庁(科学技術政策局政策課)
1989年   同庁 原子力局核燃料課
1992年   同庁 官房秘書課(渡海科学技術政務次官付)
1994年 青森県庁 むつ小川原開発室 副参事(技術担当)
1997年 外務省 在豪州大使館 一等書記官(科学技術・環境・保健医療担当)
2001年 科学技術政策研究所 企画課長
2003年   同所 第3調査研究グループ 総括上席研究官
2005年 文部科学省 研究振興局 量子放射線研究推進室長
2006年 独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 バンコク駐在員事務所長
2008年 文部科学省 初等中等教育局 参事官(産業教育・情報教育担当)
2010年 独立行政法人 科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発センター
企画運営室長
2012年 文部科学省 科学技術・学術政策局 基盤政策課長
2013年7月より現職

15:40 学生ビジネスプラン発表会
司会 福嶋副会長
審査委員長 福嶋副会長
審査委員 大野常任理事、松村常任理事、三根理事
会場: 1004教室 (発表20分、質疑応答10分 計30分)

15:40~16:10
前河大尊、佐渡夏希岡村俊、峯徳洋、前田留花、木村直人
(追手門学院大学経営学部)
テーマ:グリーン・プロジェクト

16:10~16:40
森悠人、松山実知可、村瀬一樹、清家優子、森口大晟
(大阪経済大学経営情報学部)
テーマ:ユーザの個人属性と情報収集動機を考慮した情報配信サービスの提案

16:40~17:10
藤澤尚史、竹内梨乃、銭谷亮太、安部有咲
(追手門学院大学経営学部)
テーマ:お年寄りと学生のルームシェア

17:10~17:40
松尾夏希、竹内七海、朝田亜希
(関西学院大学 国際学部)
テーマ:みまもーるん~家族とつながる心の健康~

17:40 閉会挨拶
18:00~20:00 懇親会 ホテルサンルート梅田(太陽の間) 学生ビジネスプラン発表会表彰式
司会:宮田大会実行委員長
学生ビジネスプラン授賞式
受賞式の司会:福嶋副会長
賞状授与:林会長
20:00  大会閉会挨拶 :宮田大会実行委員長

 

関西ベンチャー学会第16回年次大会のご報告

「購入型クラウド・ファンディングの現状と今後の展開」

関西ベンチャー学会第16回年次大会は、2017年3月4日に四天王寺大学羽曳野キャンパスで開催されました。午前10時30分より行われた大会では、午前中に会員総会と会員研究発表が行われ、午後からは、シンポジウムと学生ビジネスプラン発表会が行われました。今大会では例年の基調講演ではなく、シンポジウム形式で本年のテーマ、クラウド・ファンディングについて4名の皆様にご登壇いただき、議論がなされました。購入型クラウド・ファンディングの実態、事業者の経営形態や戦略などについて、事業者のお立場、行政のお立場、研究者の視点からそれぞれお話いただき、クラウド・ファンディングの今後の展開についても意見が交わされました。会員研究発表では、ベンチャー企業の成長戦略について、先行研究の詳細な分析がなされた報告や経験者ならではの非常に専門性の高い研究報告などがあり、充実した研究発表となりました。また、学生ビジネスプラン発表会では、関西の4つの大学の学生たちが日ごろの成果を披露した結果、追手門学院大学が発表した「ほっとめーる」が最優秀賞に輝きました。夕方に開催された懇親会では、学生ビジネスプラン発表会の表彰式も行われ、すべての参加大学に、表彰状と賞金が贈られました。懇親会は会員、非会員、学生たちが一堂に会し、活発な意見交換や交流の場とすることができました。

関西ベンチャー学会 第16回年次大会

「購入型クラウド・ファンディングの現状と今後の展開」

[ 趣 旨 ]

クラウド・ファンディングとは、「新規・成長企業等と投資者をインターネット上で結び付け、多数の者から少額ずつ資金を集める仕組み」とされている。出資者に対するリターンの形態により、website上で寄付を募って寄付者にはニュースレターや簡易な品を送付する寄付型、購入者から前払いで集めた代金を元手に製品を開発して完成した商品やサービスを提供する購入型、運営事業者を介して投資家と事業者との間で匿名組合契約を締結して出資する投資型の3類型がある。この内、わが国では購入型クラウド・ファンディングが約8割を占めており、テストマーケティング、技術力・商品・サービスのPRとして、ベンチャーを含む中小企業の新たなプロモーションやマーケティングツールとして活用されている。今大会では購入型クラウド・ファンディングに焦点を当てて、その現状と今後の展開について考えていきたい。

主 催 関西ベンチャー学会大会実行委員会

後 援
近畿経済産業局、大阪府、公益社団法人関西経済連合会、一般社団法人関西経済同友会
大阪商工会議所、日本政策金融公庫、一般社団法人関西ニュービジネス協議会、日本経済新聞社大阪本社
毎日新聞社、日刊工業新聞社

[大会プログラム ]

日 時  2017年3月4日(土)

会 場  四天王寺大学 6号館3階

10:10 受付開始
10:30 開始宣言:林会長挨拶、深見大会実行委員長挨拶
10:35 関西ベンチャー学会会員総会(354教室 )
11:00 会員研究発表

研究発表1
コメンテータ :坂川弘幸(常任理事)
①11:00~11:25
畑中艶子(立命館大学イノベーション・マネジメント研究センター 客員研究員)ツリー型戦略視点の中小企業・ベンチャー企業の成長戦略-調味料製造企業を事例に-

②11:30~11:55
赤松 裕二(大阪市立大学大学院 創造都市研究科博士後期課程)国内楽器産業の製品戦略と技術の伝承
-フルート製造業を事例とした考察-

研究発表2
コメンテータ :金津 謙
①11:00~11:25
福嶋 幸太郎(大阪ガスファイナンス株)グローバル・キャッシュ・マネジメントの運用課題

②11:30~11:55
中村 晃司(関西学院大学大学院 国際学研究科博士後期課程)社会起業家としてのアメリカの大学の地域貢献:「善意に基づく税の代替支払い」の事例研究

12:00 昼食休憩、理事会
13:00 シンポジウム

テーマ「購入型クラウド・ファンディングの現状と今後の展開」

ファシリテータ:福嶋常任理事
パネリスト
阿部克哉(あべ かつや)(大阪府商工労働部 中小企業支援室 商業・サービス産業課 主査)
1981年9月生まれ、2004年3月新潟大学人文学部情報文化課程卒業。2007年4月新潟県庁に入庁、教育庁義務教育課へ配属、小中学校教員採用試験の運営や、教員の定数管理、人事異動業務に従事。2010年4月上越地域振興局地域整備部へ異動、公共工事の入札業務や、2011年7月の新潟・福島豪雨の災害復旧業務に従事。2013年4月土木部都市局下水道課へ異動、特別会計予算編成、公会計改革に従事。2016年4月人事交流により大阪府へ出向、商工労働部中小企業支援室 商業・サービス産業課に配属。クラウドファンディングの普及・促進のための、商工会・商工会議所との連携した取り組みや、創業・ベンチャー企業支援、新事業創出事業に従事。
【担当事業名】
・クラウドファンディング活用促進事業
・成長志向創業者支援事業(大阪府ベンチャー企業成長プロジェクト「Booming!」)
・新事業創造プラットフォーム事業(Osaka Business Futures)

酒匂雄二 (さこう ゆうじ) ((株)NFL販売営業部マネジャー)
1977年2月生まれ。株式会社NFL販売営業部マネージャー、特定非営利活動法人まちイノベーション(FAAVO大阪)理事。ネット通販会社、ゲーム会社を経て紳士礼服メーカー小売(タキシード・燕尾服)の株式会社NFLに入社。自社(紳士礼服SPA)で卸売、ネットショップ、直営店を統括。SNSを活用し、自社店舗の売上を2年で4倍、販促費を9割削減。自社の成功事例を共有するべく異業種交流会「まちカレッジ」設立。関西を中心に約80社が参加するブログポータルサイト「まちブログ」を運営。他社ECサイトの構築、企画・運営代行なども手掛ける。クラウドファンディングでは自らも起案。6件全てのプロジェクトでサクセスし、600万円以上の資金調達に成功。

【主な講演実績】
大阪商工会議所、吹田商工会議所、堺商工会議所、泉大津商工会議所、高石商工会議所、貝塚商工会議所、近畿税理士会、よろづ支援拠点、日本経営合理化協会、その他、企業研修などに講師として招かれ、SNS活用による集客・販促やクラウドファンディング活用の講演実績多数。

【主なメディア出演】
NHK「ニュースほっと関西」、毎日放送「せやねん!」、ABCラジオ「ドッキリ!ハッキリ!三代澤康司です」、eo光チャンネル「谷口キヨコの旬なトレンドKANSAI+」、J.COMチャンネル「関西TODAY」、 読売新聞、産経新聞、信濃毎日新聞、繊研新聞、大阪日日新聞、南日本新聞など

菊地凌輔(きくち りょうすけ)(㈱サイバーエージェント・クラウドファンディング関西支社長)
1993年4月生まれ、2016年3月関西学院大学人間福祉学部社会起業学科卒業。

在学時、ベンチャー企業の立ち上げに携わり、Webサービスのディレクターとして2つの新規事業に参画。2014年4月には、学生向け学習支援サービスを立ち上げYahoo!ニュース、ITmediaなど100以上の媒体に掲載される。2015年1月㈱サイバーエージェント・クラウドファンディング入社後、関西支社の立ち上げに貢献。同年9月関西支社長就任。「ものづくり関西」の特徴を活かした多くのプロジェクトを成功に導く。

天野了一(あまの りょういち)(四天王寺大学経営学部 准教授、イノベーション・システム研究所代表)
1967年7月生まれ、1991年3月関西学院大学法学部卒業、2007年3月関西学院大学大学院経営戦略研究科アントレプレナー専攻課程修了。
関西経済連合会(国際部、事業推進部、産業部)参事、IIS(新事業推進機構)総務企画課長、財団法人関西文化学術研究都市推進機構・新産業創出交流センター調査役等を経て、2012年から、四天王寺大学経営学部准教授。起業論、地域連携、産学連携、商品論を担当分野とする。同志社大学人文科学研究所研究員として商品と社会の関係について研究(著書:ランドマーク商品の研究、等)。
併せて、個人プロジェクトとして、イノベーション・システム研究所を設置し、地域の新産業創出やブランド力強化支援、社会的ベンチャー企業のマッチング・コーディネート、学生、若者のベンチャー創業や企業との連携、地域活動の支援に取り組む。まなりんく協議会(藤井寺)副会長、日本ビッグジム普及協会(丹波・能勢の唐辛子栽培事業化)理事。

15:10 休憩
15:20 学生ビジネスプラン発表会
司会 坂川常任理事
審査委員長 大野常任理事
審査委員 松村理事、宮脇理事
①15:20~15:35
渡邊明日香(関西学院大学人間福祉学部)Beauty Power ~ケアからエンパワメントまで~
②15:35~15:50
小石真世・延原由夏・桝 知世(追手門学院大学経営学部)ほっとめーる
③15:50~16:05
栗原陽一(近畿大学経営学部)東大阪まみれカレーパン
④16:05~16:20
酒井祐佳(四天王寺大学短期大学部)一生の美を引き出すファッション提案アプリ

16:30 閉会挨拶 深見大会実行委員長
17:00~ 懇親会
懇親会挨拶・乾杯 林会長
学生ビジネスプラン授賞式
受賞式の司会:坂川常任理事
賞状授与:林会長
次回大会開催の挨拶: 関西学院大学 定藤理事
19:00  大会閉会挨拶 :深見大会実行委員長

 

関西ベンチャー学会第15回年次大会のご報告

「社会構造の変革期における社会起業家の役割」

関西ベンチャー学会は第15回年次大会を、2016年3月12日、大阪市中央区の大阪ガス備後町クラブで開催しました。午前中の会員総会、会員研究発表に続いて、午後から基調講演、パネルディスカッション、学生ビジネスプラン発表会を開き、会員総会では会長指名理事(16名)、監事(岸秀隆氏から井上貴司氏に交代)、2015年度監査報告、同年度決算、2016年度事業計画、同年度予算、部会実施計画の各議案がいずれも満場一致で承認されました。

会員研究発表では、企業のマーケティング戦略やイノベーション創出における大学の役割などに関する研究成果が発表されました。午後の基調講演では、地域福祉に詳しい牧里毎治・関西学院大学教授が登壇。地域における社会起業の意味などについて語りました。パネルディスカッションでは牧里教授に加え、地域で福祉事業などに取り組む三和清明、高見一夫、山王丸由紀子の各氏が登壇し、釣島平三郎・大会委員長(関西ベンチャー学会理事)による司会進行で、社会企業家の役割などについて話し合いました。

学生ビジネスプラン発表会では、関西の4大学の学生たちがビジネスプランを発表。関西学院大学のグループが発表した日本食の魅力を世界に発信する「Be a Japanese Chef!」が最優秀賞に輝きました。夕方に開催された懇親会では、学生ビジネスプラン発表会の表彰式などが行われ、会員・非会員に学生たちも加わった活発な交流・意見交換の輪ができました。以下、年次大会の趣旨と概要です。

 

関西ベンチャー学会 第15回年次大会

「社会構造の変革期における社会起業家の役割」

 

[ 趣 旨 ]

最近のグローバル化の進展に伴い、我が国は他国に対して相対的な地位が低下しつつある。それは急速な少子高齢化などによる社会保障費の急増により国家財政が緊迫してきたからである。一方で社会の複雑化と景気の低迷により地域問題が山積してきたが、先に挙げた国家や地方自治体の財政危機で多くの社会問題はお役所の行政指導では解決できなくなってきた。それで今までの社会構造を変革する新たな動きとして民間的発想から問題解決に取り組む社会起業家の活動がめだってきた。すなわち、国家や地方を再生させる一つの鍵を握っているのは社会起業家であると言われるようになった。関西ベンチャー学会では、社会構造の変革期における社会起業家の役割について考えていきたいと思う。

 

主 催 関西ベンチャー学会大会実行委員会

 

後 援

近畿経済産業局、大阪府、関西経済連合会、関西経済同友会、大阪商工会議所

日本政策金融公庫、関西ニュービジネス協議会、日本経済新聞社大阪本社

毎日新聞社、日刊工業新聞社、大阪ガス

 

[大会プログラム ]

日 時  2016年3月12日(土)

会 場  大阪ガス備後町クラブ

 

10:10 受付開始

10:30 開始宣言:釣島大会実行委員長会長挨拶、
会長挨拶

10:35 関西ベンチャー学会会員総会           、

11:00 会員研究発表

 

研究発表1

コメンテータ :坂川弘幸(常任理事)

①11:00~11:25

赤松裕二(大阪市立大学大学院創造都市研究科博士後期課程)日本と韓国における化粧品業界のブランド戦略-資生堂とアモーレパシフィックを中心に-

②11:30~11:55

林 宏偉        (関西大学大学院社会学研究科博士後期課程)中国オンラインゲーム企業の設立と発展-盛大社に焦点をあてて-

 

研究発表2

コメンテータ :大久保良雄(常任理事)

中村晃司        (関西学院大学大学院国際学研究科博士後期課程)イノベーション創出型政府調達(SBIR)と大学の役割に関する日米比較

②11:30~11:55

永田祥子        (広島大学大学院教育学研究科博士課程後期)異文化理解への取り組み―アメリカの文化施設の教育プログラムに着目して―

 

12:00 昼食休憩(理事会)

13:00 基調講演

牧里毎治(関西学院大学人間福祉学部教授 大阪ボランティア協会理事長)

テーマ「社会構造の変革期における社会起業家の役割」

 

牧里毎治(まきさと つねじ)氏プロフィール

1973年 同志社大学文学部社会学科卒業

1975年 大阪市立大学大学院家政学研究科修士課程修了

1977年 大阪市立大学大学院生活科学研究科博士課程退学

(旧)大阪社会事業短期大学講師 (1982年)大阪府立大学社会福祉学部助教授(1990年)を経て

1995年 大阪府立大学社会福祉学部 教授

カリフォルニア大学社会福祉大学院ハ゛ークレイ校・客員研究員(1992~93年)を兼務

2001年 関西学院大学社会学部 教授

放送大学客員教授(2002~2010年)を兼務

2008年 同大学、人間福祉学部 社会起業学科 教授

学部長(2012~2013年)、大学評議員(2010~2011年)を兼務

2016年 現在に至る。

 

基調講演内容

牧里教授はまず、社会的問題を解決するためには、政治家・行政職員による政治的・行政的解決だけでなく、企業・事業者による経済的活動も必要と指摘し、事業で社会に役に立つ、社会を変えていくという発想が大事だと語りました。そして、西欧における難民問題のように、日本においてもニート、ひきこもり、不登校、ホームレス、虐待など、社会的排除の問題が進行しており、無縁社会という名の絆の欠如、セーフティネットの崩壊が起こっていると懸念を示したうえで、孤立している人たちに居場所と出番をつくることを事業化しなければならないと強調しました。社会的企業として注目される類型は、主婦の消費生協運動からうまれたワーカーズ・コレクティブ、低所得高齢者の失業対策から派生したワーカーズ・コープ、障碍者作業所、福祉向上に出自のあるソーシャル・ファームなどがあり、特に地方が疲弊している今は、地域社会を支える基盤としての「職域社会」が必要とされる。高齢者や障害者などが就労参加・地域貢献ができる社会、仕事でつながる社会をつらなければならない。そこに社会起業の意味があると締めくくりました。

 

13:45 パネルディスカッション

コーディネーター 釣島平三郎  (大会実行委員長・理事)

パネリスト

三和清明(おおさか元気ネットワーク理事長、寝屋川あいの会理事長)

高見一夫(A’ワーク創造館(大阪地域職業訓練センター)館長 (株)ワーク21企画代表取締役)

山王丸由紀子(フェリスモンテ理事長、住民参加型在宅福祉サービス団体全国連絡会代表幹事)

 

パネリストのご紹介

三和清明(みわ きよあき)氏プロフィール

現職 おおさか元気ネットワーク理事長、寝屋川あいの会理事長

1938年生まれ 神戸大学経済学部卒

資格 中小企業診断士、インキュベーション・マネージャー

経歴 1961年 松下電器産業入社 製造事業部(白物家電 住宅設備 空調)&設備営業本部

2001年 NPO法人 寝屋川あいの会設立(理事長)

2004年 NPO法人 北大阪経営支援マスターズ(理事長)(地域中小企業経営支援)

2004年 NPO法人 地域通貨『ねやがわ』設立(理事長)

2005年 NPO法人 おおさか元気ネットワーク(理事長)

2006年 NPO法人 寝屋川市駅周辺まちづくりネットワーク(副理事長)

 

高見一夫(たかみかずお)氏プロフィール

株式会社ワーク21企画代表取締役、中小企業診断士。中小企業の経営相談、経営支援に従事しつつ、障がい者の仕事づくり、福祉のまちづくり等に関する調査・研究・企画、コミュニティビジネスの支援に取り組んでいる。

NPO法人おおさか元気ネットワーク副理事長、大阪府商工会連合会地域貢献型企業経営サポートセンター専門相談員、A´ワーク創造館(大阪地域職業訓練センター)館長を務める。

 

山王丸由紀子(さんのうまるゆきこ)氏プロフィール

1947年生まれ。関西学院大学文学部卒業。

父の介護の経験から1999年に特定非営利活動法人フェリスモンテを設立し、理事長に就任。

自分たちが住み慣れた地域で最期まで暮らせるようにと、できることから活動を開始。

たすけあいサービス(住民参加型在宅福祉サービス)、介護保険事業(ヘルパー派遣、ケアプラン、デイサービス)、配食サービス、グループハウス、コミュニティ喫茶、つどいの広場事業(乳幼児とその保護者の交流)、プレ幼稚園(幼児一時預かり)、就労困難者等支援、障害者総合支援事業(ヘルパー派遣)、移動サービス、サークル活動など、大阪市の旭区、生野区を拠点に約100名のスタッフ・ボランティアで実施。

住民参加型在宅福祉サービス団体全国連絡会代表幹事(2006年~)、大阪市立古市生涯学習ルーム「楽しい茶道教室」講師、NPO法人おおさか元気ネットワーク理事(2005年~)、大阪宅老所グループハウス連絡会世話人代表(2005年~)、大阪有償ボランティア団体連絡会代表(2015年~)を兼務。

 

15:10 休憩

15:20 学生ビジネスプラン発表会

司会 釣島大会実行委員長

審査委員長 三根早苗(理事)

審査委員 大野長八(常任理事)、大久保良雄(常任理事)

①15:20~15:35

村田あす実、藤沢柚奈、藤井大地(関西学院大学国際学部) Be a
Japanese Chef!

②15:35~15:50

中野愛菜        (近畿大学経営学部) ごはんのお供から次世代へ繋げる~阪神・淡路大震災を風化させない~

③15:50~16:05

池原梨奈(大阪経済大学情報社会学部) ウェアラブル端末を用いた健康管理・応急手当サービス「BANDICAL」

④16:05~16:20

田丸綜一郎(追手門学院大学経営学部) デート下見代行サービス

 

16:30 閉会挨拶 釣島大会実行委員長

17:00~ 懇親会

司会:宮田副会長

学生ビジネスプラン授賞式

受賞式の司会:釣島大会実行委員長

賞状授与:林会長

次回大会開催の挨拶:深見理事(四天王寺大学)

19:00 大会閉会挨拶:釣島大会実行委員長

関西ベンチャー学会 第14回年次大会

「少子高齢社会における女性企業家の役割」

2015年関西ベンチャー学会の第14回年次大会が、2015年3月7日、関西大学千里山キャンパスで開催されました。午前中の会員総会、会員研究発表に続いて、午後から基調講演、パネルディスカッション、学生ビジネスプラン発表会が行われ、会員研究発表では、新事業開発の見極めやマーケティング戦略などに関する研究成果が発表されました。午後の基調講演では、働く母親を支援するサービスを展開する企業「マザーネット」の上田理恵子代表取締役社長が登壇。起業のいきさつや経営理念などについて語りました。パネルディスカッションでは上田社長に加え、日本政策投資銀行の栗原美津枝常勤監査役、有限会社アクティアの松村敦子代表取締役が登壇し、三根早苗関西ベンチャー学会副会長による司会進行で、女性起業家の役割、強み、起業を目指す女性へのメッセージなどについて話し合いました。学生ビジネスプラン発表会では、関西の5大学4グループの学生たちがビジネスプランを発表。関西学院大学・大阪経済大学のグループが発表した「日本企業に就職したい留学生と、留学生を採用したい中小企業のマッチングサービス」が最優秀賞に輝きました。夕方に開催された懇親会では、学生ビジネスプラン発表会の表彰式などが行われ、学生たちも加わった賑やかな懇談の輪ができました。

[ 趣 旨]
日本では世界に例をみないスピードで少子高齢化が進行しています。国立社会保障・人口問題研究所は、2060年には、現在と比べて労働人口は2/3に減少し、65歳以上の人口の比率は40%になると予測しています。このような状況では、女性が子供を産み育てながら安心して仕事をすることができる社会が必要です。そのような社会を実現させる鍵をにぎっているのは女性起業家ではないでしょうか。関西ベンチャー学会では、少子高齢社会における女性起業家の役割について考えていきたいと思います。

主 催 関西ベンチャー学会大会実行委員会

後 援
近畿経済産業局、大阪府、関西経済連合会、関西経済同友会、大阪商工会議所
日本政策金融公庫、関西ニュービジネス協議会、日本経済新聞社大阪本社
毎日新聞社、日刊工業新聞社

[大会プログラム ]
日 時  2015年3月7日(土)

会 場  関西大学 千里山キャンパス 第2学舎2号館C棟5階
懇親会会場  新関西大学会館南棟4階 レストラン チルコロ(Circolo)

10:10 受付開始
10:30 会長挨拶、主催校挨拶    (C507教室)

10:35 関西ベンチャー学会会員総会        (C507教室)

11:00 会員研究発表
開始・終了宣言:高増大会実行委員長
研究発表1
コメンテータ :釣島平三郎(太成学院大学)
会場:C505教室   (発表20分、質疑応答5分 計25分)

①11:00~11:25 北 真収 岡山大学大学院社会文化科学研究科 教授
「新興企業の手続き的公正と顧客の声の促進」

②11:30~11:55 大谷隆児 立命館大学大学院MOT研究科
「製造業中小企業の新事業開発の好機認識についての一考察」

研究発表2
コメンテータ :坂川弘幸(関西ベンチャー学会 理事)
会場: C506教室    (発表20分、質疑応答5分 計25分)

①11:00~11:25 畑中艶子 奈良女子大学 キャリア開発支援本部
「中小食品企業のマーケティング戦略~ツリー型思考法の提起~」

②11:30~11:55 福嶋幸太郎 大阪ガスファイナンス㈱代表取締役社長
「CMSキャッシュ・プーリングの経済的効果と運用課題」

12:00 昼食休憩(理事会) 会場 C501教室
13:00 基調講演   会場 C507教室

株式会社マザーネット 代表取締役社長 上田 理恵子氏
テーマ「女性の視点のソーシャルベンチャー ~働くママにやさしい社会をめざして~」

上田理恵子氏プロフィール
17年間勤めた会社を退職し、仕事と家事・子育ての両立に悩んだ自身の体験を生かし
ワーキングマザーを総合的に支援する会社「マザーネット」を設立。働く母親が本当に困ったときに役立つサービスをめざし、家事・育児を代行し、急な子どもの発熱や残業時にも対応するマザーケアサービスを中心に、電話悩み相談や、育児休暇復帰セミナー、長期休み中の子ども自然体験スクールの開催、月刊情報誌の発行など、きめ細かいサービスを展開している。2002年10月には「女性のための創業マニュアル」を発行。
2006年には“第1回にっけい子育て支援大賞”、2007年には“女性のチャレンジ支援賞(男女共同参画担当大臣賞)”、2010年には関西財界セミナー賞2010輝く女性賞を受賞。2009年3月に初めての著書「働くママに効く心のビタミン」(日経BP社)を出版。

[基調講演内容]

上田社長は2001年に立ち上げた「マザーネット」の概要を説明した後、創業までのいきさつについて語りました。この中で上田社長は、自分自身の子育ての体験から、働く母親には優しくない社会であることを実感し、働く母親の会「『キャリアと家庭』両立を目指す会」を1994年に設立、この会に寄せられた悩みがおよそ2万件にも上り、「特に、子どもが病気の時に預けるところがないという悩みが最も多かったため、病気の子どものケアをメインの事業とする会社を立ち上げる決意をした」と語りました。また、起業の準備には5年をかけ、起業塾などで「使命感、大きな志の大切さを学んだ」とも述べました。

起業した後も、オフィスを貸してもらえなかったり、資本金を預ける銀行がなかったりと、「起業する女性にもやさしくない社会であることを実感した」ものの、「尊敬できるパートナーができ、働く女性に優しい社会を作りたいという明確な理念に共感を持ち、応援してくれる仲間たちも集まって、少しずつ体制を整えながら成長を続けてこられた」と振り返りました。そして、「社会が求めている事業は必ず伸びる。スタッフ(社員・パート)やケアリストがどうすれば働きやすくなるかを常に考えること。どれだけ大きな事業をするかより、どれだけ1件1件に心を込めたかが大事」と述べ、「マザーネットという会社がいらなくなる社会を目指したい」と結びました。

14:00 パネルディスカッション
テーマ: 「少子高齢社会における女性起業家の役割」
司会 三根 早苗(パワーエンハンスメント代表取締役
関西ベンチヤー学会副会長)
パネリスト
上田理恵子(株式会社マザーネット
代表取締役社長)
栗原美津枝(株式会社日本政策投資銀行 常勤監査役(初代女性起業サポートセンター長))
松村 敦子(アクテイア代表取締役
関西ベンチヤー学会理事)

パネリストのご紹介
栗原美津枝氏プロフィール
現職:日本政策投資銀行 常勤監査役(初代女性起業サポートセンター長)
略歴:
日本開発銀行入行後、文部科学省出向、コーポレートファイナンスや地域振興事業の
プロジェクトメイクを担当。財務部等にて銀行統合事業等に携わった後、2003年~
2008年、課長としてM&Aを統括。この間、地方銀行とのネットワークを生かし、
地域の企業再生やサービス業の業界再編案件、グループ再編を多く手掛ける。2008年~2010年、米国スタンフォード大学国際政策研究所Visiting FellowでクロスボーダーM&Aやベンチャーファイナンスを研究。帰国後、財務部次長、医療・生活室長を経て、2013年4月、ヘルスケアやサービス産業を担当する企業金融第6部の新設に伴い部長就任。この間、2011年11月に「女性起業サポートセンター」を自ら立ち上げ初代センター長を務める。2015年2月より現職。

松村敦子氏プロフィール
松村 敦子(まつむら・あつこ)1960年生まれ 京都女子大学短期大学部(食物専攻)
中学校家庭科講師(工夫パジャマ指導)。結婚退職後、女児出産.
専業主婦(20年間)のち起業。※ソウルメイトだった義母が?尿管がん‘になり、脱毛(抗がん剤の副作用)で悲しんでいた時に看病の傍ら 帽子を手作りして贈った。
その帽子(バンダナ帽)を商品化し、2005年 会社設立。

15:10 休憩
15:20 学生ビジネスプラン発表会
司会 高増明(関西大学)
審査委員長 三根早苗(㈲パワーエンハンスメント代表取締役)
審査委員 大野長八(大野アソシエーツ代表)、釣島平三郎(太成学院大学)
会場: C505教室 (発表10分、質疑応答5分 計15分)

1.15:20~15:35 BBB伴 雅樹、増田 貴明、白羽 弘樹、上山 貴大(近畿大学 経営学部)
「外来魚ビジネス」

2.15:35~15:50
林 宏偉、賀 艶(関西大学大学院 社会学研究科)
「中国人観光客向けのGPSを利用した観光情報スマホアプリの開発」

3.15:50~16:05 由比美穂、雪谷周平、上田紗加、峯岸志帆(追手門学院大学 経営学部)
「ブルブル多機能まくらさん」

4.16:05~16:20 田中裕人、山崎 源
(関西学院大学 商学部、大阪経済大学 人間科学学部)
「日本企業に就職したい留学生と、留学生を採用したい中小企業のマッチングサービス」

16:35 閉会挨拶 高増大会実行委員長
17:00~ 懇親会開始 新関西大学会館南棟4階 レストラン Circolo(チルコロ)
司会:日野副会長
学生ビジネスプラン授賞式
受賞式の司会:高増大会実行委員長
賞状授与:林会長
次年度開催校挨拶:釣島常任理事(太成学院大学経営学部長)
19:00  大会閉会挨拶 :高増大会実行委員長

 

第13回年次大会のご報告

関西ベンチャー学会 第13回年次大会

「未来を拓くソーシャルベンチャーへの期待」

2014年関西ベンチャー学会の第13回年次大会が、2014年3月16日、関西学院大学大阪梅田キャンパスで開催されました。午前中の会員総会、会員研究発表に続いて、午後から基調講演、パネルディスカッション、学生ビジネスプラン発表会が行われ、会員研究発表では、知的財産・マーケティング戦略などに関する研究成果が発表されました。午後の基調講演では、ホームレスの人たちが販売する雑誌「ビッグイシュー日本版」を発行している(有)ビッグイシュー日本の佐野章二代表が登壇。企業としてこの事業を推進する意義などについて語りました。パネルディスカッションでは佐野代表に加え、近畿労働金庫地域共生推進部の法橋聡部長、(株)プラスリジョンの福井佑実子代表取締役も登壇し、林茂樹関西ベンチャー学会会長による司会進行で、ソーシャルベンチャーを巡る現状と課題などについて議論しました。学生ビジネスプラン発表会では、関西の5つの大学の学生たちがビジネスプランを発表。大阪市立大学大学院の小笠原恭子さんが最優秀賞に輝きました。夕方に開催された懇親会では、会員・非会員を含めた参加者に学生たちも加わり、交流の輪がいくつもできました。

[ 趣 旨 ]

現代社会には、貧困、格差、教育、環境保護、高齢者・障害者の介護・福祉から子育て支援、まちづくり等に至るまで、多種多様な新たな社会的課題が顕在化しつつあり、これらの社会的課題をビジネスとして解決するソーシャルベンチャーや社会起業家への期待が高まっています。ボランティア活動や行政による補助金に依存する従来型でなく、優れた事業モデル、ノウハウ・技術の蓄積、有効なマーケティング活動、多様な資金調達や有能な人材の確保、効果的な財務活動や組織マネジメントを取り入れた持続可能なソーシャルビジネスを育成する必要があります。今回の年次大会は、この分野で優れた業績を収めている企業経営者による基調講演とパネルディスカッションを中心に構成し、ソーシャルビジネスのあり方や成功要因、新たな可能性について探求してまいります。

[大会プログラム ]

日 時 2014年3月16日(日) 10時30分開会

会 場 関西学院大学大阪梅田キャンパス

10:30 会長挨拶、主催校挨拶

10:35 関西ベンチャー学会会員総会

11:00 会員研究発表
開始・終了宣言:定藤大会実行委員長

*研究発表1* コメンテータ:釣島平三郎(太成大学)

①11:00~11:25
北真収・岡山大学大学院社会文化科学研究科教授
ベンチャー創業期の信頼構築の糸口―参入価格設定のケース―

②11:30~11:55
寺地洋之・大阪工業大学建築学科准教授
宮脇一・情報工房株式会社代表取締役
北村光司・Seiju 国際知財事務所所長弁理士
下出一・株式会社サピエンティスト代表取締役
知財の強み・弱みと顧客ターゲットの組み合わせに着目した知財評価技法に関する考察

*研究発表2* コメンテータ:文能照之(近畿大学)

①11:00~11:25
名取隆・立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科教授
中小企業のウェブサイトマーケティングの効果と課題

②11:30~11:55
大野長八・大野アソシエーツ代表
高齢化社会と女性の時代・事例研究・女性専用フィットネス・カーブス

12:00 昼食休憩(理事会)

13:00 基調講演

講師:ビッグイシュー日本代表 佐野章二氏

テーマ:「ホームレスをビジネスパートナーにする―ビッグイシュー10年の試みを通して―」

佐野章二氏プロフィール

1941年大阪生まれ。(有)ビッグイシュー日本共同代表。大学職員、都市問題コンサルタント事務所、地域調査計画研究所の開設を経て、2003年から現職。07年にはNPO法人「ビッグイシュー基金」を設立、理事長兼務。2003年9月に雑誌『ビッグイシュー日本版』創刊現在235号発売中。独立事務所時代にはNPO法策定のための基礎調査や制定作業を行う。2010~11年内閣府「新しい公共円卓会議」委員を務める。

佐野氏講演概

基調講演を行った佐野章二氏は、ホームレスの人たちが販売する雑誌「ビッグイシュー日本版」を2003年9月に創刊しました。現在は全国16都市で150人近い人が販売しています。累計発行部数はおよそ600万冊に達しています。佐野氏は「日本におけるホームレス問題は失業問題。仕事がないから住居もなくなり、人とのきずなもなくなって孤立してしまう。ホームレスにしかできない仕事をつくれば、これらの人たちは自立できるのではないか」と考えたことがきっ
かけだったと語り、NPOではなく企業として立ち上げたのは「事業性を持たせ大きくすることで、ホームレスの人たちの仕事をたくさんつくりたい」という思いからだったと説明しました。また、「この事業には①若者の活字離れが進んでいる②雑誌の路上販売の文化がない③無料の情報が多い④ホームレスからは買わない――という四重苦があり、当初人からは絶対に失敗すると言われていた」ものの、女性が多く買ってくれたり、路上販売に対する規制も「移動販売」ということでクリアしたりといったことで、継続ができていると語りました。そして佐野氏は「ホームレスの人たちの自立を市民がサポートするプロジェクトとして立ち上げた認定NPO法人・ビッグイシュー基金と、会社組織のビッグイシュー日本が車の両輪となり、自立への支援を強化。失敗した人たちがもう一度チャンスを得て立ち上がる社会をつくるため、ホームレスの人たちとパートナーを組んで活動を続けたい」と結びました。

14:00 パネルディスカッション

テーマ:「未来を拓くソーシャルベンチャーへの期待」

コーディネーター:林茂樹(大阪工業大学知的財産学部教授)

パネリスト:
ビッグイシュー日本代表 佐野章二氏
近畿労働金庫地域共生推進部部長 法橋 聡氏
(株)プラスリジョン代表取締役 福井佑実子氏

法橋 聡氏プロフィール(2014年2月末)

1999年から約2年間、近畿ろうきんからNPOへの出向経験を持つ。意思のあるお金をつないで地域に循環させる「社会的金融」を目指して近畿圏を東奔西走してきた。これまで、大阪府「地域福祉支援計画推進委員会」委員、神戸市「ソーシャルベンチャーアワード」委員、内閣府「新しい公共支援事業・運営会議」委員などにも携わる。

福井佑実子氏プロフィール

民間企業、国立大学産学連携組織勤務(産業クラスター内ネットワーキングを担当)を経て現職。社名プラスリジョンには、常に「プラスする」のは「リジョン(融合)」の視点で、という活動方針を込めている。「融合」をキーワードに分野横断的ネットワークを活かしながら障害のある人の働く場づくりを事業的手法て?確立することをめざす。農業分野との融合事例として、「オニオン・キャラメリゼ(玉葱飴色炒め)」のプロデュース実績がある。ETIC.主催STYLE2004入賞(2004年)、NEC社会起業塾6期生(2007年)、SVP東京 協働採択(2009年)大阪府第4次福祉計画策定委員(2010~2011年)農林水産省6次産業化プランナー(2012年~)、ユニバーサル社会づくり賞・兵庫県知事賞(2013年)

15:10 休憩

15:20 学生ビジネスプラン発表会

司会 宮田由紀夫(関西学院大学)
審査委員長 三根早苗(㈲パワーエンハンスメント代表取締役)
審査委員 大野長八(大野アソシエーツ代表)、宮田由紀夫(関西学院大学)

①15:20~15:35 神中智博(関西学院大学国際学部) E-Food 東南アジアにおける食の安全と環境対策に取り組む

②15:35~15:50 松浦麻奈未 出店純一 野田勝也(大阪経済大学経営情報学部) 受験・就職活動支援ポートフォリオサービス~ユーザー属性を踏まえた広告ビジネスの提案~

③15:50~16:05 小松史典 吉田竜也 池本さやか 浦崎雄太郎(近畿大学経営学部) 茶カスに秘めた可能性

④16:05~16:20 仲村厚輝(追手門学院大学経営学部) SMASHION

⑤16:20~16:35 小笠原恭子(大阪市立大学大学院文学研究科教育学専修) 障害者に経済的自立を!-働く場の拡充-

16:35 閉会挨拶 定藤大会実行委員長

17:00 懇親会(新阪急ホテルアネックス1階クレール)

司会:宮田常任理事
挨拶・乾杯 林 会長
学生ビジネスプラン授賞式 林会長
受賞式の司会:宮田常任理事
賞状授与:林会長
次年度開催校挨拶:関西大学

19:00  大会閉会挨拶 :定藤大会実行委員長

第12回年次大会のご報告 

関西ベンチャー学会 第12回年次大会

「ローカルからグローバルへ~グローバルベンチャーへの道~」

2013年関西ベンチャー学会の第12回年次大会が、2013年3月16日に、阪南大学本キャンパスで開催されました。今回の年次大会では、午前中の会員総会、会員研究発表に続いて、午後から基調講演、パネルディスカッション、学生ビジネスプラン発表会が行われ、会員研究発表では、女性ベンチャー経営者らによる具体的な経営体験談などが関心を集めました。また午後の基調講演では、登壇した株式会社ブレインワークスの近藤昇代表取締役は、自身の豊富なアジアでのビジネス経験を踏まえ、ベンチャー・中小企業の進出可能性について語りました。パネルディスカッションではこれを受けて、実際に東南アジアでのビジネスを展開している経営者らが、ビジネスの具体例を述べ、アジアに積極的に出ていってチャンスをつかんでほしいと訴えました。続いて開かれた学生ビジネスプランでは、関西の5大学の学生たちが、若者らしいユニークな発想のビジネスプランを発表。夕方に開催された懇親会も含め、議論が絶えない熱気あふれた年次大会となりました。

[ 趣 旨 ]

「失われた20年」ともいわれる長期停滞の根本的な原因を探ると、1980年代末の冷戦終結以降、経済のグローバル化への対応としての経済・産業構造改革の遅れに行き着く。さらに、今世紀に入り、長期傾向としての人口現象による国内マーケットの縮小が逆風となり、日本経済は出口の見えない状況になっている。その中で、経済活性化の起爆剤としてベンチャーへの期待は大きいが、成熟化した既存の国内市場への参入には大きな困難を伴う。一方、海外、特に新興国市場に目を向けると、日本国内では必ずしもメジャーとはいえないローカル企業が特定の国で大きなシェアを占め、成功している事例が多く見られる。その成功要因を探求することにより、これからの中小・ベンチャー企業の新しい可能性を探りたい。

[大会プログラム ]

日 時 2013年3月16日(土)  10時00分受付開始 10時30分開会

会 場 阪南大学本キャンパス2号館3階 2301教室

10:30 会長挨拶、主催校挨拶

総合司会 梶山国宏(阪南大学経済学部教授)

会長挨拶

主催校挨拶

10:35 関西ベンチャー学会会員総会

総会司会 日野孝雄(神戸常盤大学、神戸国際医療交流財団理事)

決算報告:吉永常任理事

監査報告::岸 監事

事業計画・予算案説明:米倉副会長兼事務局長    、

11:00 選挙管理委員長挨拶・理事選挙投票受付開始

村上薫(MARKET POWER INSTITUTE 代表主席研究員)

11:00 会員研究発表

開始・終了宣言:梶山大会実行委員長

**学術研究発表 会場:2305教室**

コメンテータ :①,②釣島平三郎(太成大学)、③狩俣正雄(大阪市立大学)、

④高増明(関西大学)

①   11:00~11:20 村上薫 (MARKET
POWER INSTITUTE 代表主席研究員)

サービス企業のベンチャー的海外進出戦略

~戦略策定のための理論的フレームワークの研究~

②   11:20~11:40 吉田和男(京都産業大学経済学部客員教授)、

河野憲嗣(社団法人ソーシャルサイエンスラボ)

ベンチャービジネスの可能性としてのチェック・トランケーション

③   11:40~12:00 園田裕紹(大阪市立大学大学院 経営学研究科博士課程)

社会福祉事業領域におけるイノベイティブ起業活動の事例的研究

④   12:00~12:20 石尾和哉(京都大学博士(経済学)

イノベーション促進のための技術ロードマップ活用上の課題

**事例研究発表 会場:2301教室 **

コメンテータ :①, ②松村敦子((株)アクティア)、③,④坂川弘幸(日経新聞社大阪本社)

①   11:00~11:20 土田磯実 (株)シンキオン代表取締役社長

女性ブランディング力の経済効果ついて

②   11:20~11:40 合田由佳 (株)メルキュール代表取締役社長

「ポットに咲く心の花」中国工芸茶

③   11:40~12:00 森田祥子  株式会社Terrace代表取締役社長

お洒落な靴が履きたい ミラノ発!女性に快適で心地良いシューズライフを

④   12:00~12:20 宮脇敏哉 事業創造大学院大学事業創造研究科教授

地場産業・中小企業のクラスター地域研究 ―帯広・苫小牧と川崎の事例―

12:20 昼食休憩(理事会)

13:20 基調講演

司会:梶山大会実行委員長

講師:近藤 昇 (株式会社ブレインワークス代表取締役)

テーマ:「東南アジアにおけるベンチャーの可能性」

近藤昇氏プロフィール

1962年徳島県生まれ。ブレインワークスグループCEO。神戸大学工学部建築学科卒業。一級建築士、特種情報処理技術者の資格を有する。大手建設会社に入社後、システムエンジニアとして活躍。その後、31歳の時に株式会社ブレインワークスを設立する。創業当時より、「日本を元気に、中小企業を元気に」との思いのもと、中小企業の総合支援事業を核に、経営戦略支援、人材育成支援、ブランディング支援、セキュリティ支援、ITアウトソーシング支援など幅広い サービスを提供する。講演、セミナー活動も積極的に行い、雑誌への寄稿や新聞等から取材も多い。15年前よりベトナム・ホーチミン市に拠点を設立し活動を開始。現在はベトナムだけにとどまらずカンボジア、ミャンマー、シンガポールなどアジア各国を駆け巡る毎日。執筆活動も精力的に行っており、いずれも現地のビジネス状況を熟知しているからこその、独自の視点を活かした内容となっている。

主な著書:「バカモン!一流ビジネスパーソンへの登竜門」、「アジアでビジネスチャンスをつかめ!」、「アジア人材活用のススメ」、「だから中小企業のアジアビジネスは失敗する」(いずれもカナリア書房刊)

〔基調講演概要〕

講演した近藤昇氏は、31歳の時に株式会社ブレインワークスを設立。「日本を元気に、中小企業を元気に」の思いのもと、中小企業の総合支援事業を展開しています。15年前からはベトナム・ホーチミン市に拠点を設立し、活動を開始。現在はベトナムだけにとどまらず、カンボジア、ミャンマー、シンガポールなどのアジア諸国を駆け巡る毎日です。そのアジアのビジネス状況を良く知る近藤氏が、自らの体験を踏まえ、東南アジアにおけるベンチャービジネスの可能性について語りました。近藤氏は「ローカルとローカルがつながる」というのが、アジアビジネスの本質だと述べ、アジアでビジネスを始めようとするのであれば、最初からローカルをターゲットにし、新しいものを売るという発想ではなく、日本には足りていてアジアのローカルには足りないものを売るという発想で取り組むべきだと強調しました。そして、こうしたビジネスは難しいものではなく、ベンチャー・中小企業の可能性は大きいとして、「百聞は一見にしかず」であり、経営者はもちろん、若い人たちもどんどんアジアに出ていってほしいと訴えました。

14:00 休憩

14:10 パネルディスカッション(会場:2301教室)

テーマ:「ローカルからグローバルへ~グローバルベンチャーへの道~」

コーディネーター:吉田 和男(京都産業大学経済学部客員教授)

パネリスト

近藤 昇(株式会社ブレインワークス代表取締役)

関 智宏(阪南大学経営情報学部准教授)

阿古哲史(株式会社ジャパン・ファームプロダクツ 代表取締役)

川村千秋(プライムビジネスコンサルタンシー代表取締役)

パネリストのご紹介

関 智宏氏プロフィール

阪南大学大学院企業情報研究科・経営情報学部准教授。2006年3月神戸商科大学(現兵庫県立大学)大学院経営学研究科博士後期課程単位取得退学。阪南大学経営情報学部専任講師を経て、2009年4月より経営情報学部准教授、2010年4月より大学院企業情報研究科准教授。博士(経営学)(兵庫県立大学)。

阿古哲史氏プロフィール

株式会社社ジャパン・ファージャパン・ファームプロダクツ代表取締役。1984年生まれ。奈良県出身。大学卒業後、人材業界を経て、祖父の代から続く実家の農薬屋を継ぐ。そこで見た農業現場と、既存の農業界の仕組みに疑問を持ち、改革のヒントを海外に見出だす。かねて起業の為に貯めていた資金で2011 年に株式会社ジャパン・ファームプロダクツを設立。同年、上海にも商社を立ち上げる。また日本の生産者の進出先としてカンボジアを選び、2012 年に現地法人を設立。農家のこせがれネットワーク関西の副幹事長としても活動中。

川村千秋氏プロフィール

プライムビジネスコンサルタンシー代表。1996 年シンガポール移住。緊急医療サービス会社のシンガポール本社にてアジア太平洋地
区9 カ国のマーケティングを担当後、シンガポールに本社を置くエグゼクティブサーチ会社に入社。リージョナルディレクターとして本社、日本法人勤務後、エグゼクティブサーチで培った広範なビジネスネットワークを基に日本・シンガポール間のビジネスを幅広く支援するプライムビジネスコンサルタンシーを設立。シンガポール共和国永住権保持者。

15:00 休憩

15:00 理事選挙受付終了

15:10 学生ビジネスプラン発表会

(司会 三根早苗(㈲パワーエンハンスメント代表取締役)

審査委員長 三根早苗(㈲パワーエンハンスメント代表取締役)

審査委員 大野長八(大野アソシエーツ代表)、岡崎利美(追手門学院大学)

①    15:15~15:30 小溝香菜、菊地祥(近畿大学経営学部キャリアマネジメント学科)

株式会社シェアハウスHaruHaru

②   15:30~15:45 神中智博(関西学院大学国際学部企業会計研究会 )

My Book

③   15:45~16:00 大谷幸輝(大阪経済大学経営情報学部ビジネス情報学科)

スマートフォンアプリによる客導線操作事業

④   16:00~16:15 永島元貴(追手門学院大学経営学部)

ペットの里子・里親募集掲示板の革新

⑤   16:15~16:30 今井直樹、上本真裕(阪南大学経理情報学部)

地域連携型フットサルコートレンタルビジネス

16:30 閉会挨拶 梶山大会実行委員長

17:00 懇親会開始 3号館1階カフェテリア

司会:松村常任理事

挨拶・乾杯:林 繁樹(大阪工業大学)

学生ビジネスプラン授賞式:吉田会長

受賞式の司会:大野常任理事

賞状授与:吉田会長

次年度開催校挨拶:関西学院大学

19:00 大会閉会挨拶:吉田会長

 

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