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第60、61回文化観光研究部会(オンライン)のご報告

文化観光研究部会は、NPO法人スマート観光推進機構の「観光のひろば」との共催として開催しています。第60回と61回はZOOMを使用してオンラインで開催しました。以下ご報告です。

第60回文化観光研究部会

日時:2020 年 6 月10 日(水)19 時 〜 21 時
ゲスト: 株式会社インプリージョン 代表取締役 オダギリサトシさん
テーマ:「ウイズコロナ・ポストコロナの観光」

オダギリさんの講演内容

オダギリさんは、都市型着地型観光䛾プランナーで、毎年 50 万人〜60 万人の観光受入れを行っており、そのプランナーの経験を生かして、日本全国の自治体の観光集客アドバイザーやコンサルタントをされています。オダギリさんの理念をひとことで言えが『地域のファンを作る』だそうです。

今、「オンラインツーリズム」が流行っています。オンラインクルーズ、オンラインワイナリー見学、オンラインスナック、オンライン宿泊、オンライン生産者お取り寄せ、オンライン移住などを経験されており、「旅まえプロモーション」として䛿大変有効な手段だと考えておられます。とはいえ、物理的な距離がなくなるので無限の可能性を秘めており、やり方次第では新しい文化を創るかも知
れない。ただし“オンラインだけでいくら払ってもらえるか?”と“利用者の ITC スキル”が課題と話されました。

「ポストコロナの観光」は、見る・食べる・遊ぶ・体験する「観光」から、地元の人と来訪者の交流による「関係」へ変化しようとしている。地域の人と時を一緒に過ごし、思い出を共に作り、SNSを通じて友達になること。これこそがリピート訪問のキモであり、そのため「ふるさとシェアリング株式会社」を令和1年に設立されたといいます。

移住はハードルが高く、旅行以上に満足度が高い、“旅行以上、移住未満”。これが「地域のファンを作る」ことだといい、会員制コミュニティ「ふるさとシェアリング」で構築するといいます。東京在住の東京出身者で「ふるさとと呼べる場所がない」方が41%いるそうです。これは首都圏の人口割合で見ると 1252 万人もいるということになります。

「ふるさとシェアリング」の事業は、都会と地方をつなぐオンラインコミュニティを運営し、ふるさとからのお取り寄せ、ふるさとの空き家に泊まり・交流するお手伝いをして、現地でいろいろな体験を通じて一緒の時間を過ごしてもらうことだそうです。

都会の人が地域に関心を持っても、そこに介在する人との関係が無けれは、コミュニティは成立しません。この人との関係をオダギリさんの新会社でしっかりサポートし、コミュニティを作り上げるというのがこの事業のキモです。

そして「ふるさとからのお取り寄せ」では、地元だけで消費される有機野菜や、沢山獲れた魚の自家製干物などを、普段からお取り寄せし、まるで親戚から送ってもらったようなお裾分け気分を楽しむといいます。また「地方にある空き家」を有効活用して、地域の暮らしを感じるようにリフォームし、この空き家に泊まって、地域の方と交流するといいます。

都会の方の「釣りしてみたい」「子どもにカブトムシを捕らせたい」との要望から、地元の方の「祭りを手伝って欲しい」「収穫の手伝いをして欲しい」まで、双方の要望を叶え。ボランティアのものから有償のイベントまであると思われるようです。

今、和歌山県のすさみ町と京都府京丹後市網野で企画が進んでいます。「ふるさとシェアリング」の、入会金と月額費用でまかない、清掃サービスは地元の方に有償でお願いし、食事は自分で手配し、アクティビティも、地元の方との関係ができているので多様なもの
が提供されます。メインは「地元の方との交流」で、一緒に釣った魚を、調理法を学びながら、一緒に食べるなどが醍醐味だと話されました。

最後に、いきなり移住を促すのはハードルが高い。「ふるさとシェアリング」で関係性を増やしながら、最後に「移住」を考える人も出てくる。このように「関係人口」を増やすことが重要だと話を締めくくられました。

第61回文化観光研究部会

日時:2020年8月5日 (水) 19時 ~21時
ゲスト:大阪産業経済リサーチ&デザインセンター  山本敏也さん
テーマ:ウィズコロナ・ポストコロナの観光②
     ~関係人口から考える観光~

山本さんの講演内容

人口減少時代を迎えていますが、東京圏は2019年に約14.6万人で24年連続の転入超過で、大阪圏は3857人と7年連続の転出超過となっています。市町村の移住・定住促進施策は1970年頃に始まりますが、2015年度は111団体と急増しました。起爆剤になったのは、2014年に発表された「増田レポート」です。増田レポートでは、全国1,799の市町村(2010年時点)のうち、2010〜40年にかけて20〜39歳の若年女性人口が5割以下になる市町村は、896に及ぶと指摘されました。

これにより政府は、移住・定住施策に取り組み、総務省は「地域おこし協力隊」を2009年度に制度化しました。「地域おこし協力隊」は、地方自治体の委嘱を受けて、国から生活費などの支援を受けながら過疎や山村に移住し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PRに従事する仕組みで、隊員数は11年で約60倍になっています。また、隊員へのアンケートによれば、 任期終了後に「定住する予定」と考えている人は54%を占め、定住希望者は「起業」を希望される方が53.6%を占めます。

「地域おこし協力隊」の課題は収入の少なさです。隊員1人当たり年間400万円の支給が上限となっており、兼業・副業する隊員も多いといいます。私の概算では、国による支出は19年度には約214億円(400万円×5349人)。一方、定住者増の効果は約67億円(年間消費額125万円×5349人)となります。

そのような中で「移住でもない、旅行でもない」、故郷などルーツがあり地域に関わる人、頻繁にその地域を訪れる人、地域に心を寄せる人など、「関係人口」という考え方が生まれてきました。農業などに興味を持つといったライフスタイルの多様化、ICTの進化などが背景にあるといいます。

移住には、移住先を決めて移住するパターンもありますが、訪問 ➡ 購入 ➡ 寄付 ➡ リピート訪問 ➡ 二地域居住 ➡ 移住 とプロセスを経るパターンもあり、自治体も「関係人口」を増やそうとしています。ただし、定住を関係人口の着地点に置かない方が、都市部と地方の交流を促す方法をより多面的に考えることが可能になります。

その一例として、石川県羽咋はくい市の「烏帽子よぼし親制度」があります。これは、血縁関係がないもの同士の擬似的な親子関係のことです。能登地方に中世から残る伝統で、この考え方が都市住民の宿泊受け入れに適用されました。法政大学の農家合宿では、学生が合宿で訪れた後も農家との交流が続いたそうです。また、栃木県鹿沼市ではカフェを経営するUターン起業家が、常連客の開業やIターン者の移住を支援し、関係人口の受け皿として機能した事例もあります。

今、地方創生に求められるのは、都市部と地方の住民が共感や価値観をベースにつながることです。幸いにも、ICTの進歩によって、クラウドファンディングをはじめ、地域に関わりたい人々を全国から募る仕組みが整ってきました。小さな地域で定住者を奪い合うのではなく、共感や価値観に基づくネットワークを通じて、多様なコミュニティを担保することが肝要だと思っています。

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第61回文化観光研究部会(8月5日=オンライン)のお知らせ

第61回文化観光研究部会(オンライン部会=ZOOMを使用)

「ウィズコロナ・ポストコロナの観光②~関係人口から考える観光~」

6月19日の都道府県を越えた移動制限の自粛解除で、観光に出かける気持ちは高まってきました。

6月10日の文化観光研究部会では、地元の方の「都会からヨソ者に来てもらいたくない」 との意識が強いとの意見も聞かれましたが、状況は変わってきているようです。今回は「関係人口から考える観光」として、「旅行でもない・移住でもない」都会と地方の関係について、大阪産業経済リサーチ&デザインセンターの山本敏也様に、「関係人口」について語っていただきます。

その後は、各地のウィズコロナについて、各地の状況について報告してもらいながら、今後の観光のあり方について、意見交換してまいりたいと思います。

前回の文化観光研究部会では、全国各地からZoomに参加されていた観光関係に従事されている方々から、ウィズコロナ、アフターコロナの観光を見据えた様々なご意見や、コロナ禍の影響を受けた各地の観光の生の状況を聞くことができ、大変貴重な時間だったことに加えて、シンプルに大変楽しい時間を共有出できました。

今回もぜひ皆さん、飲みながらの意見交換の最後までZoomに参加頂き、全国各地のコロナ禍の影響、ウィズコロナ・アフターコロナについて思う存分、語り合いましょう!

日時:8月5日 (水) 19:00 ~ 21:00
    19:00~19:05 ウィズコロナの観光の現状 
    19:05~19:35 山本さんの話
    19:35 カンパイ
    19:35~20:05 各地の観光の現状
    20:05~21:00 意見交換

ゲスト:大阪産業経済リサーチ&デザインセンター 山本敏也 様

テーマ:ウィズコロナ・ポストコロナの観光②
     ~関係人口から考える観光~

参加費:500円 (主催団体の会員は無料です)

主催:関西ベンチャー学会 文化観光研究部会
   NPO法人 スマート観光推進機構

協力:なにわ名物開発研究会

申込先:当Peatixから必要事項を入力の上、チケットを入手して下さい。
     https://kanko39.peatix.com

連絡先:星乃 mail:hoshino3014@gmail.com(090-5645-1710)

※ お申し込みのありました皆さんに、Zoom招待メールをお送りいたします。

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第60回文化観光研究部会(6月10日=オンライン)のお知らせ

第60回文化観光研究部会(オンライン部会=ZOOMを使用)

新型コロナの感染拡大により外出自粛が続いているなか、旅行の再開は近場の観光になるであろうと予測されています。
大阪の観光集客や着地型観光に18年前から取り組んできたオダギリサトシさんに、ウイズコロナ・ポストコロナの観光についてお聞きします。
また、都心と地方がオンラインとオフラインで親戚のように繋がる会員制コミュニティ「ふるさとシェアリング」のプロジェクトについてもお聞きします。
今なぜ『ふるさとシェアリング』をはじめたのか? 従来の観光とは違うオンライントラベルとは? 常に一歩先の観光を見てきたオダギリさんに語っていただきたいと思います。
 
 
日時
2020 年 6 月 10 日(水)19 時 〜 21 時
 19:00〜19:30 オダギリさんの話
 19:30 乾杯
 19:30〜21:00 飲みながら意見交換

ゲスト
オダギリサトシ 株式会社インプリージョン 代表取締役

テーマ
「ウイズコロナ・ポストコロナの観光」

参加費
 無料 (今回は試験的取り組みなので無料で開催いたします)

主催 
 関西ベンチャー学会 文化観光研究部会
 NPO法人 スマート観光推進機構
 
協力
 なにわ名物開発研究会

申込先 星乃
 hoshino3014@gmail.com
※ お申し込みのありました皆さんに、Zoomの招待メールをお送りいたします。

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第57、58、59回文化観光研究部会のご報告

文化観光研究部会は、NPO法人スマート観光推進機構の「観光のひろば」との共催として開催しています。以下ご報告です。

第57回文化観光研究部会

日時:2019年10月9日 (水) 18:30 ~ 20:00
場所:中央復建コンサルタンツ㈱大会議室
ゲスト:呉偉偉氏((株)ボーダーレス インバウンド事業部部長)
テーマ:「 外国人への日本の情報発信のキモ!」

呉氏は中国・内モンゴル出身。2007年に青森大学に入学し、来日して12年になります。2013年に(株)ボーダレスに入社、2014年にインバウンド事業部を設立しました。同社は①多言語サポート②Eコマース③インバウンド集客④システム開発――の4つの事業を展開しています。大阪に本社を置き、東京に営業所、韓国・中国・フィリピンに現地法人を持っています。

講演で呉氏は、訪日外国人観光客の多くはウェブサイトや口コミサイト、SNSで様々な日本の情報を集めてから来日していると述べ、これらの違いを踏まえた上で、訪日前から商品やサービスのプロモーションを仕掛けていくことが必要だと強調しました。そして、特に8億人の中国人が使っている中国最大のSNS「微博(ウェイボー)」、中国人観光客集客の口コミサイト「大衆点評」、英語圏観光客集客の口コミサイト「トリップアドバイザー」、世界的集客ツールの「Google」の使い分けが重要だと必要だとして、それぞれのツールの特徴などを具体的に説明しました。

第58回文化観光研究部会

万博シンポ
〜 もっと豊かな妄想を 〜
「 大阪・関西万博 発想の飛躍を目指す!」

2025年に「大阪・関西万博」(日本国際博覧会)が開催されます。ただ、テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」となっていますが、「万博で何が行われようとしているのか、何のために万博をしようとしているのか」が分からないと感じる人もられる方も多いと思います。そこで、今回の文化観光研究部会は、具体的な提案を持つゲストにお集まりいただき、その提案内容をお聞きするシンポジウムとしました。内容は次の通りです。

日時:2019年12月17日(火)14:00~17:00
場所:大阪府立中之島図書館 3階レンタルスペース2
内容:
・基調講演:「2025年日本国際博覧会について」
公益社団法人2025年日本国際博覧会協会 企画局 審議役 堤成光氏
・モデレーターからの問題提起
「万博のテーマや背景、そしてこれからの観光、誰に来て欲しいのか」
NPO法人スマート観光推進機構 理事・研究主幹、元大阪観光大学教授
(70年の大阪万博 日本政府館渉外広報部の儀典官を体験)佐竹真一 氏
・ショートプレゼン
「万博のインフラとしてのスーパーシティの可能性」
大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学 教授 森下竜一氏
「泡の力で世界を変える」
株式会社サイエンス 取締役会長 青山恭明氏
「“10歳若返るプロジェクト”について」
10歳若返るプロジェクト実行委員会 事務局長 高島正広氏
「暗号資産を用いたスマートシティの未来図:2025年万博での展開」
タイムイノベーション株式会社 代表取締役 佐和田悠葵氏
「脳の健康を10歳若返らせる」
大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学 准教授 武田朱公氏
・パネルディスカッション
モデレーターと登壇者により「大阪・関西万博」の開催意義や具体的提案に ついて議論

シンポジウムでは、まず堤氏が万博の誘致からのいきさつ、テーマやコンセプト、今後のスケジュールなどを解説し、続いて佐竹氏が「誰に来てほしいのか、どのように資産を残していくのかが重要」と問題提起し、「最大の観光資源は平和と幸せな暮らしぶりである」と強調しました。そして、各パネリストがそれぞれの取り組みを説明。パネル討論では万博後の超高齢化社会に向けて「生き甲斐」をどうデザインしていくかなどを議論しました。

第59回文化観光研究部会

日時:2020年2月20日 (木) 18:30 ~ 20:00
場所:中央復建コンサルタンツ㈱大会議室
ゲスト:遠藤烈士氏 ( JAMS.TV社 取締役 )
テーマ:「オーストラリアから訪日する観光客の動向 」
〜オーストラリア国内で訪日インバウンドのPR企業〜

遠藤氏はオーストラリアに23年住み、JAMS.TV社で訪日プロモーションやイベント出店のコーディネート、オーストラリア人向けの日本観光情報発信などの仕事をしています。

講演で遠藤氏は、訪日オーストリア人の最新のデータを披露。2019年に海外旅行をしたオーストラリア人は1,130万人で、うち訪日旅行客は62万人。2011年以降、毎年5万人増のペースで成長しており、1人当たり旅行支出額は外国人の中のトップであると、特徴を述べました。オーストラリア人が日本を選ぶ理由は、欧米に比べて近いこと、時差が1〜2時間と少ないこと、季節が真逆で12月~1月は夏休みであること。オーストラリアからの直航便が多いこと、歴史や異文化に強い興味を持つことも日本を選ぶ理由のようです。そして遠藤氏はラグジュアリートラベルを楽しむ「新しい層」の存在を示しました。

オーストラリア人富裕層の旅行動機の1位は歴史建造物など文化的な名所を見ること。地域のおいしいものを食べる、地域の文化体験をするがこれに続いています。訪日プランでは5都市14泊で84万円、15都市15泊で75万円などの例を遠藤氏は紹介しました。ラグジュアリートラベルを好む富裕層は58%が対面経由、28%がウェブやアプリ経由とのこと。高額旅行商品を購入する「新しい層」に注目し、プロモーションは計画的に進める必要がありそうです。

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第59回文化観光研究部会のお知らせ

第59回文化観光研究部会

オーストラリアで訪日インバウンドの仕事をしておられるJAMS.TV社の遠藤烈士様に、オーストラリアからお越しいただいて「オーストラリアから訪日する観光客の動向」 について語っていただきます。

訪日外国人の1人当たりの旅行消費額、そして平均宿泊日数が一位のオーストラリア。観光業界では「世界の超優良顧客」と認識されているオーストラリア人。そのオーストラリア人の特性、行動・消費パターンのお話や、訪日オーストラリア人をどのように獲得していけばよいか等について、多くの事例を交えながらの講演です。

日時:2月20日 (木) 18:30 ~ 20:00 (交流会21:30まで)

場所:中央復建コンサルタンツ㈱大会議室
    大阪市東淀川区東中島4丁目11-10
     JR新大阪駅(東口)徒歩3分
     地下鉄 新大阪駅(5番出口)徒歩8分
     ※正面入口が閉まってる場合は、南側 (ビル右手)の通用口をご利用下さい。

ゲスト:遠藤 烈士 様  ( JAMS.TV社 取締役 )

テーマ:「オーストラリアから訪日する観光客の動向 」
     〜オーストラリア国内で訪日インバウンドのPR企業〜

参加費:セミナー  1000円 (主催団体会員は無料)
    懇親会   2000円

主催: 関西ベンチャー学会 文化観光研究部会
    NPO法人 スマート観光推進機構
    協力: なにわ名物開発研究会

申込先:星乃 mail:hoshino3014@gmail.com Tel: 090-5645-1710

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第58回文化観光研究部会のお知らせ

第58回文化観光研究部会

万博シンポ
〜 もっと豊かな妄想を 〜
「 大阪・関西万博 発想の飛躍を目指す!」

2025年「大阪’関西万博」が開催されるにあたり、テーマが「いのち輝く未来社会のデザイン」と言われても、“万博で何が行われようとしているのか、何のために万博をしようとしているのかが分からないと感じられる方も多いのではないでしょうか。そこで、具体的な提案を持つゲストにお集まりいただいて、その提案内容をお聞きし、「みんなでつくり上げる万”にしたいと思い、シンポジウムを開催することとしました。

開催日時:12月17日 (火) 14時~17時
(17時30分から交流会)

開催場所:大阪府立中之島図書館 3階レンタルスペース2
住所:〒530-0005 大阪市北区中之島 1-2-10
電話:06-6203-0474 (代表)
URL: https://www.library.pref.osaka.jp/site/nakato/

内容:
・主賓講演:「2025年日本国際博覧会について」
 公益社団法人 2025 年日本国際博覧会協会 企画局 審議役 堤 成光 氏
・モデレーターからの問題提起
 「万博のテーマや背景、そしてこれからの観光、誰に来て欲しいのか」
 NPO法人 スマート観光推進機構 理事・研究主幹、元大阪観光大学教授
(70年の大阪万博 日本政府館渉外広報部の儀典官を体験) 佐竹真一 氏
・ショートプレゼン
 「万博のインフラとしてのスーパーシティの可能性」
  大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学 教授 森下竜一 氏
 「泡の力で世界を変える」
  株式会社サイエンス 取締役会長 青山恭明 氏
 「“10歳若返るプロジェクト”について」
   10歳若返るプロジェクト実行委員会 事務局長 高島正広 氏
 「暗号資産を用いたスマートシティの未来図:2025 万博での展開」
   タイムイノベーション株式会社 代表取締役 佐和田 悠葵氏
 「脳の健康を10歳若返らせる」
  大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学 准教授 武田朱公 氏
・パネルディスカッション
 モデレーターと登壇者により「大阪・関西万博」の開催意義や具体的提案について議論を深める

参 加 費:1,000円 (主催団体会員は無料、非会員は1,000円) (定員100名)
交流会費:4,000円

申 込 み: 星乃 (メール:hoshino3014@gmail.com)
所属、氏名、メールアドレス、電話番号、会員/非会員の別、交流会参加の有無をお知らせ下さい

主 催:関西ベンチャー学会文化観光研究部会、NPO 法人スマート観光推進機構、 なにわ名物開発研究会
共 催:関西 CAN フォーラム、大阪府立中之島図書館 指定管理者 (株)アスウェル
後 援:公益社団法人 2025 年日本国際博覧会協会、公益社団法人大阪観光局、日本経済新聞社大阪本社、NPO 法人抗加齢協会、10 歳若返りプロジェクト実行委員会

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第57回文化観光研究部会のお知らせ

第57回文化観光研究部会のお知らせ

外国人への情報発信は国ごとに違います。特にアジア系と欧米系では全く違います。訪日外国人最大の購買層である中国は、中国政府の検閲があるため、グーグルもフェイスブックも使えません。中国国内最大の口コミサイト「大衆点評」や、フェイスブック+ツイッターの機能を合わせたSNS「ウェイボー(微博)」を活用するのが効果的です。グーグルの利用者は全世界の7割に達するといわれ、欧米系は「トリップアドバイザー」のクチコミ情報を信頼するといい、これらを組み合わせた情報発信が重要になります。これらの情報戦略の最前線で活躍されてきた呉偉偉 様に実践的なお話を伺いたいと思います。

日時:10 月 9 日 (水) 18:30 ~ 20:00 (交流会21:30まで)

場所:中央復建コンサルタンツ㈱大会議室
    大阪市東淀川区東中島4丁目11-10
    JR新大阪駅(東口)徒歩3分
    地下鉄 新大阪駅(5番出口)徒歩8分
    ※正面入口が閉まってる場合は、南側 (ビル右手)の通用口をご利用下さい。

ゲスト:呉 偉偉 様((株)ボーダーレス インバウンド事業部部長)

テーマ:「 外国人への日本の情報発信のキモ!」

参加費:セミナー  1000円 (関西ベンチャー学会会員は無料)
    交流会   2000円
    
主催:関西ベンチャー学会 文化観光研究部会、NPO法人 スマート観光推進機構
   
協力:なにわ名物開発研究会

申し込み:星乃  mail: hoshino3014@gmail.com Tel:  090-5645-1710

12月は、大阪府立中之島図書館でシンポジウムを開催予定です。内容は検討中ですが、『大阪・関西万博』をテーマにする予定です。ご期待ください!

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第55、56回文化観光研究部会のご報告

文化観光研究部会は、NPO法人スマート観光推進機構の「観光のひろば」との共催として開催しています。以下ご報告です。

第55回文化観光研究部会

日時 6月13日 (木)18:30~20:30
場所 中央復建コンサルタンツ大会議室
講師 宮本 倫明 氏(株式会社Landa 代表取締役)
テーマ 「博覧会のプロデュースとは? そして観光!」

宮本さんは1970年の「大阪万博」に従事したイベントプロデューサー・北本正孟さんに弟子入りし、堺屋太一さんから地方博のイベントの企画・プロデュースを学び、その後独立しました。

89年の「海と島の博覧会・ひろしま」、92年の「第1回ジャパンエキスポ富山」、2001年の「うつくしま未来博」(福島県)をプロデュース。総合プロデューサーとしての初仕事が「うつくしま未来博」で、37歳の時だったそうです。環境に配慮した博覧会を目指したということで、豊富な水を使った水力エスカレーターを造り、民話パビリオンなども造りました。民話パビリオンは、ご高齢の語り部の減少で民話が継承されなくなる危機感から生まれましたが、住民から民話の語り部を残したいとの声が大きくなり、民話研修会を県内7カ所で開催。百数十名の語り部が誕生したといいます。

04年の「えひめ町並博」では、町そのものを使い、パビリオンは造らない町博をプロデュースしました。ここでは「地域の人が知っている情報も、地域で共有されていない」ことに気がついたといい、地域住民を集めた座談会を28市町村でそれぞれ何回も開催しました。「面白くなかったら次回は来なくてもいい」「面白かったら仲間を連れて参加する」といったゆるい感じのおしゃべり会で、「どうしたら客が来るか、楽しんでもらえるか」を話し合ったといいます。参加者が参加者を連れて来て、それが多くのグループに発展し、全体プログラムに発展したといいます。「甦れ!明治の婚礼」では、タンスの肥やしになっていた古い着物を観光客に着てもらおうというグループと「人力車」を引こうというグループが連携して新しい体験プログラムを立ち上げるなど、これまでなかった、地域住民同士の協力も生まれたようです。内子町ではレトロバスを走らせたのですが、博覧会が終わってからも、旅客自動車運送事業の免許を取り、バスを1台から3台に増やして事業化したといいます。

「えひめ町博」などのプロデュースを通じて、住民の声を聞き、住民がしたいと思うものを聞き出すなかで、「学べる」「モチベーションが上がる」「多少稼げる」ということが大切だと気づいたといいます。

09年には「美し国おこし三重」に取り組みました。実は「えひめ町並博」を視察に来た三重県の職員が、10年後の伊勢神宮遷宮の後イベントとして相談に来たことがきっかけだったといいます。三重県はNPO先進県で、地域のグループに「博覧会のパートナーグループ」に登録してもらい、6年間で4500回を超える座談会を重ねたといいます。具体的には、「ソーシャルレジャー」グループでは地域貢献としての海洋清掃を行った後、お楽しみとしてたこ焼き大会を開催。「物語おこし」グループでは、マップや紙芝居を作り、そのネタを元にツアーを行いました。「チャレンジキャンプ」グループでは、サッカー部の学生の合宿が行われましたが、「技術的・体力的にはサッカーに学校間の差がなく、技術を教えるのではなく、コミュニケーション能力を鍛える」との監督の思いから、荒れた田んぼの開墾に取り組んでもらったといいます。農具だけを渡して自分で考えさせ、当初は開墾が進まないことに学生も悩み、雑魚寝しながら「3人セットで開墾+根っこを運ぶチーム」手法を思いつき、一気に開墾が進んだといいます。土地のオーナーも大喜びでしたが、サッカーもその年全国優勝したということで、地域の人がバスで応援に押しかけたとのエピソードをお聞きしました。

15年には「道頓堀盆おどりインターナショナル」を、道頓堀の遊歩道で開き、2025人の踊り手を集めギネス記録更新を達成しました。南米では1万人規模の盆踊りが盛大に開催されており、盆踊りを世界に広げたいとの思いもあったといいます。開催前夜、雨の予報があり600人がキャンセル。ギネス達成が危ぶまれたのですが、周辺の人に「応援してください」と呼びかけたところ、参加してくれてギネス達成。こうした呼び掛けに応じてくれるのも 「大阪ならでは」と、宮本さんは語りました。

17年のカザフスタンで開催された「アスタナ万博」では、ジャパンデーの取り組みとして、大阪から海外初公開の宝恵駕籠と福娘を派遣。喜ばれたといいます。同じ年には「関西イベントダイナミクス」を開催。現在は「道頓堀Vision」のリニューアルに取り組んいます。映画「ナイトミュージアム」で、博物館の展示物が動き出すように、道頓堀の看板の「カニ」「グリコマン」「タコ」などが、夜になると動き出す動画を作るプロジェクトなどを進めているそうです。

また夢洲IR会場などに、第二の道頓堀「Little Dotonbori」を実現させる構想を練っていることや、「食博覧会大阪 2021」「大阪城10万人の大盆踊り」など、今後の取り組みも紹介しました。

最後に「2025年大阪・関西万博」の開催意義について、「世界にとっての意義」としては「持続可能な開発(SDGs)」「日本だけでなく、世界にビジネスを広げ、文化を発信する機会」、「日本にとっての意義」として「日本の国家戦略、特にSociety5.0との整合性」、「大阪・関西にとっての意義」として「大阪の成長戦略の起爆剤」「世界における関西の認知度向上」を挙げ、この3つの意義を達成させようと、講演を結びました。

 

第56回文化観光研究部会

日時:8 月 5 日 (月) 18:30~20:00
場所:中央復建コンサルタンツ大会議室
講師:星乃 勝 関西ベンチャー学会常任理事・文化観光研究部会副主査 (NPO法人スマート観光推進機構
理事長)
テーマ:「最新のインバウンド観光のトレンド!」

星乃さんは「今日はインバウンド観光でこんなことが起きてるというような話から、今後どのようになるのかを紐解くお話をさせていただきます」と講演を始めました。

まず少子高齢化について、14歳以下の人口が減少し65歳以上の高齢者が大幅に増加、そして生産年齢人口が急減すると述べ、「人口が減少するから、交流人口(観光)でカバーしよう。日本人は減少するから、外国人でカバ−しよう。それが、雇用や経済につながるので、国も観光に取り組んでいる」と語りました。以下、星乃さんの講演要旨です。

2018年の訪日客の旅行者数は3,119万人(対前年比8.7%増)。訪日客の旅行消費額は旅行消費全体の17.3%に拡大し、日本人の観光の減少を訪日客がカバーしています。ただ、日本だけ外国人観光客が増えているのではなく、世界中で観光客が増えています。2000年の6億8千万人が、2018年に14億人になりました。2030年には18億人と予測されています。

トリップアドバイザーの「外国人に人気の日本の体験・ツアー2019」ベスト30によると、大阪10件、東京10件、京都8件。大阪はアクティビティが少ないと言われていましたが、一気に増えてきました。そして訪日客の「コト消費」が地方に広がっています。沖縄では「リゾートウェディング」が、伊勢志摩では「海女小屋体験」が、高野山では「宿坊体験」が、「しまなみハイウェイ」では「レンタサイクル」が増加しています。これらのアクティビティが地方にあるので、地方への観光客分散に繋がっているのです。

訪日客の「飲食費」「宿泊費」「娯楽サービス」が2ケタ成長となる一方、1位の「買物代」は落ち込んでいます。飲食費を含める「コト消費」のウェートが高くなりつつあります。 ただ、日本の菜食主義者は5%以下ですが、欧州では15%、インドでは30%と言われています。菜食主義者やムスリム(イスラム教信者)向けの料理を提供する店舗が、まだ少ないのが課題です。

純資産3000万ドル以上を所有する「超富裕層」は、2016年に20万人。世界人口の約0.003%に過ぎませんが、資産は世界全体のGDPの3割に達するといいます。超富裕層はプライベートジェットで移動し、高級ホテルに宿泊し、特別な体験を希望して、全国を飛び回るのです。

観光地の公衆トイレは2016年度に2万4524基。うち大便器の42%、1万基が和式トイレといいます。訪日客はトイレの向きが分からず、便器に座ってしまう人も多いといいます。洋式トイレの普及が求められるところです。また、日本人の49%が刺青(タトゥー)は「不快」といいますが、世界では広がっています。温泉などではタトゥーを禁止するところもありますが、入浴可能な施設と入浴できない施設を明確にする必要もあります。入浴のマナーも啓発する必要があり、日本温泉協会は「入浴エチケット啓蒙ポスター」を10言語で制作しました。

訪日客の忘れ物でホテルが頭を痛めています。「放棄したものか、忘れ物かわからない」ことが多いのです。宿泊名簿をもとに問い合わせて、希望があれば先方の費用負担で送り返しますが、海外発送手続きは複雑で、海外では着払い運送などのシステムが普及していないため、大変手間がかかるといいます。

訪日中にケガや病気になる外国人は5%、医療機関にかかる必要がある人が29%もいるといいます。保険に加入している人は73%もいるのですが、「外国人対応ができる医療機関はどこか分からない」「通訳ができない」ということで、せっかく旅行保険に入っても医療を受けられない人もいるといいます。

訪日外国人の「コト消費」の1位は「スキー・スノボー」で87%。「トレッキング」も増えています。また訪日客の遭難も増えています。バックカントリースキーによる遭難が目立ち、訪日客は日本人では考えられない行動を取ることが多いようです。

日本でキャッシュレス決済が進んでいないことは、訪日客の不満の1つです。中国では、「アリペイ」「ウィチャットペイ」のQRコード決済が普及しており、中国人から見れば「こんなに便利なQRコード決済が使えない日本は遅れている」といいます。しかし日本のスマホQRコード決済は、2018年度の512万人から、2021年度には1880万人へ増えるとも予想されています。

2019年〜21年に開業予定の客室数は、9都市で8万室増加します。大阪で21,000室、東京と京都で12,000室が過剰になるといわれています。すでに客室稼働率が低下し、宿泊料金も下がり始めています。

国別の国際旅行支出は中国が2580億ドル。米国の1350億ドルの倍でダントツです。世界から中国人観光客にラブコールが贈られています。中国人に人気のドンキホーテの免税品販売のピークは22時です。観光客は「お土産を持ちながら観光はしたくない」といい、この時間帯が混雑するようです。また、中国人訪日客に人気なのが「牛乳」。中国では加熱するので冷たい牛乳は新鮮だといいます。中国の都市部の人が農村部に出向くことを「肺を洗う」といい、海外の汚れていない空気に触れることを「肺を取り換える」といいます。キレイな空気を求めるのが観光の目的になる時代を迎えつつあるのかもしれません。

世界の国際会議は1万2563件。日本での開催は492件で第7位です。2017年の1位は東京、2位が神戸市、3位が京都市、そして大阪市は7位です。大阪は国際展示場のインテックス大阪も老朽化しており、国際会議施設の見直しが求められています。カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致の大きな目的の一つになっています。しかし、候補地である「夢洲」は現在、コンテナ埠頭とメガソーラ発電所があるだけです。万博用地が100haとIR用地が70haといいますが、埋め立て未了地域も広大です。早く建設に着手することが望まれます。

訪日外国人旅行者の受入環境は大幅に改善しました。「困ったことはなかった」という訪日客は、2018年度は36.6%に上ります。困っていることの改善はさらに進め、訪日客に「日本好き」になってもらいたいものです。

以上です。

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第55回文化観光研究部会のお知らせ

第55回文化観光研究部会

※ 今回はセミナー時間を30分延長しています。たっぷり宮本さんの博覧会のノウハウをお聞きいただきたいと思います。是非、ご参加ください!

今回は株式会社Landa 代表取締役の宮本倫明さんをお招きしています。宮本さんは1970年の大阪万博のフランス館や御堂筋パレード、食博覧会・大阪などのプロデューサーとして活躍された北本正孟さんに弟子入り、その後、地方の博覧会やイベントのプロデュースをされてきました。愛知の「愛地球博」で、堺屋太一最高顧問の顧問補佐を務めたほか、福島県の「うつくしま未来博」、三重県の「美し国おこし・三重」などの総合プロデュースを手掛け、「えひめ町並み博」で2004年日本イベント大賞、PRアワードグランプリなどを受賞されています。その宮本さんに、博覧会を成功させるプロデュースについてお話しいただきたいと思います。

日時 6月13日 (木) 18:30 ~ 20:30 (交流会21:30まで)

場所 中央復建コンサルタンツ㈱大会議室
大阪市東淀川区東中島4丁目11-10
JR新大阪駅(東口)徒歩3分
地下鉄 新大阪駅(5番出口)徒歩8分
※正面入口が閉まってる場合は、南側 (ビル右   手) の通用口をご利用下さい。

ゲスト 宮本 倫明 氏(株式会社Landa 代表取締役)

テーマ 「博覧会のプロデュースとは? そして観光!」

参加費 セミナー  1000円 (関西ベンチャー学会会員は無料)
交流会   2000円

主催  関西ベンチャー学会 文化観光研究部会
NPO法人 スマート観光推進機構

協力  なにわ名物開発研究会

申込連絡先 星乃 mail:hoshino3014@gmail.com   Tel: 090-5645-1710

次回は、8月5日(月)に開催いたします。
また9月初旬は、フィールドワークとして舞鶴を訪問する予定です。今、舞鶴観光公社の釼菱さんにプランをお願いしていますが、漁師民泊と漁業体験、舞鶴港遊覧など、魅力のあるツアーを行いますので、こちらもご期待ください!

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第52、53、54回文化観光研究部会のご報告

文化観光研究部会はNPO法人スマート観光推進機構と共催で、今年度上半期(2018年12月~2019年5月)に3回の研究部会を開催しました。以下ご報告です。

第52回文化観光研究部会

日時: 12月12日 (水) 18:30~20:30
場所: 中央復建コンサルタンツ 大会議室
講師: 横江友則 氏
(一般社団法人グローカル推進機構 専務理事)
(元・スルッとKANSAI代表取締役副社長)
テーマ:「鉄道と観光」 〜インバウンド推進の真の意義〜

「スルッとKANSAI」を設立し、鉄道業界にイノベーションを起こした横江友則さんに登場いただきました。2018年6月に大阪メトロを卒業した横江さんは、一般社団法人グローカル推進機構を設立し、第二の人生を歩んでいます。その横江さんに『鉄道と観光』、そして、これからの人生の生き方をテーマに語っていただきました。

キーワードは「逆風の時には空を飛べ!」です。プリペイドカード「スルッとKANSAI」の設立からICカード「PiTaPa」の誕生まで、逆風とイノベーションの連続であったと横江さんは話しました。

「スルッとKANSAI」の運用開始は1996年。前年の95年に阪神淡路大震災が起こり、鉄道が寸断されました。この時、阪急電鉄は神戸から御影まで、阪神電気鉄道は御影から梅田まで輸送することが可能でした。両鉄道線の乗り換えをスムーズにするために阪急御影駅の改札機を改造し、阪神の定期を使えるようにしたことから「阪急・阪神共通定期」を思いついたといいます。プリペイドカード「スルッとKANSAI」は大阪市交通局、阪急、阪神、能勢電鉄、北大阪急行の5社局でスタートしました。

ただ、ここに法律の壁が登場します。鉄道営業法の規定では、カードの残額が初乗り運賃を下回ると乗車できないことになっています。この問題は運輸省と交渉を重ね、鉄道会社の約款に「残額がある場合は乗車できる」と書き込むことによりクリアできました。顧客視点に立った新たな価値創造です。これがその後のPiTaPaの開発につながったということです。

スルッとKANSAI協議会では、各社経営陣で構成する理事会でミッションを統一し、鉄道会社をまたぐ中堅・若手に実質的に意思決定権限を委譲する仕組みができました。異なる社風の集合体だからこそ柔軟な発想を持つことができたといいます。「競争から共創へ」のパラダイムシフトです。

2000年にJR東日本がICカード乗車券の開発に着手。磁気カードで実現できなかった価値の向上のためのICカード化に向けた検討が関西でも始まりました。お客様の要望・意見には、①他の交通機関でも使いたい②コンビニなど店舗でも使いたい③精算機を使いたくない④回数券の種類が多すぎる⑤プレミアをつけてほしい――などがあり、これらをローコストで実現させる方法として、銀行口座にひも付いた「ポストペイ」に行き着きます。そして、2004年8月にICカード「PiTaPa」がスタートしました。

現在、インバウンドが急増しています。今後4000万人になるインバウンドの方々を隣人として迎え入れ、日本人および日本を好きになって、「平和の使者」としてお帰りいただくことが、インバウンド推進の真の意義であると横江さんは語りました。

この考えに立ち「世界の人々と日本の地域の人々が相互に交流することによって、日本に対する真の理解を推進し、地域と地域交通の発展と、世界平和に貢献する」というミッションを持った「一般社団法人グローカル交流推進機構」が2018年に設立されました。横江さんは専務理事として、ここで第二の人生を歩みます。

 

第53回文化観光研究部会

日時:2月22日(金)18:30~20:00
場所:中央復建コンサルタンツ 大会議室
講師:中西弘之 氏 (NPO法人 スマート観光推進機構 理事)
テーマ:地方で個人が自らインバウンド集客の装置になるAirbnb体験
〜自ら立ち上がり持続可能な仕組みと流れを作り出す時代〜

今回の文化観光研究部会は、Airbnb(エアビー)の体験ホストとして大活躍中の中西弘之さんに登場していただきました。

中西さんは、奈良でカフェを経営し、無料で宿を提供する世界的団体「カウチサーフィン」で60カ国から200人を宿泊させた経験を持っています。「カウチサーフィン」で宿泊するのは、医者や弁護士など社会的地位の高い人が多く、国境を越えて深い人間関係ができたといいます。

そのような原体験を持つなかで、2018年2月にAirbnb体験の説明会を受け、運命的な出会いを感じて、3月末から奈良でサイクリング体験のホストをしています。これまでの利用者は39カ国1101人に上ります。19年1月末のAirbnb体験ホストのランキングでは、レビュー数437、評価点4.92となり、日本の14位にランクされました。

「Airbnb体験ホストはガイドではない」という中西さん。相手が望むものを察し「感動を提供」することが大事で、観光案内より、日常会話のたわいもない話の方が感動を生むと話しました。訪日客は日常の日本を知りたいとの要望が強いようです。

ホスト体験で感じたことは、①家族連れが多い②学生が多い③アジアからカナダやオーストラリアへの移民が多い④お金持ちが多いーーなどです。「従来の観光は海外の代理店と日本の代理店を経由していたが、今は旅行者とホストが直接連絡を取り合うことが増えてきた」。「観光革命」が起こっていると感じるとのことです。

「Airbnb体験はまだまだ参入地域が少ないので、地方にもチャンスがある。Airbnb体験を始めるに当たっては、ほとんどノーリスクで、やるなら徹底的に、体験のはるか上の価値を提供することが大切といいます。そして中西さんは、「自分の体験で胸を張って言えるのは、①インバウンドに喜んでもらい②自分の好きなことをやって③地元に貢献でき④英語が上達できてメンタルも鍛えられて⑥効率よく収入が得られ⑦世界中に友達の輪が広がっているーーこと」と語りました。

 

第54回文化観光研究部会

日時:4月 8日 (月)18:30~20:00
場所:中央復建コンサルタンツ 大会議室
ゲスト:山田英範 氏 (ホテル中央グループ代表取締役社長 )
テーマ:「労働者の町から 旅行者の町へ 」
〜新今宮のビジネスホテルが築いたインバウンド観光への挑戦〜

「労働者の街」だった「新今宮」。 JR ・南海・地下鉄の駅から徒歩2〜 3分という、便利な場所にビジネスホテル「ホテル中央」があります。シングル1泊2千円台からという低価格が魅力で、多くの外国人観光客が利用しています。ホテルスタッフも外国語によるおもてなしを心掛け、阪南大学観光学科と連携した観光案内所を設置するなど、様々なインバウンド対応を実践中です。「新今宮」を「旅行者の町」変貌させた立役者・山田英範さんに語っていただきました。

山田さんは大学時代、バックパッカーとしてアジアを中心に旅をし、その後、オーストラリアの留学を経て、2005年から父が経営する簡易宿泊所の仕事に就きました。

かつての新今宮は、日雇い労働者の街として有名でしたが、バブル崩壊後は労働者が減少。生活保護者の街に変貌し、200件あった簡易宿泊所組合員も約60件に減ってしまいました。

そんな時に、安い宿を探していた東京の学生が、1500円という宿泊費に喜んだことから、簡易宿泊所の新しい活用法のヒントをつかみました。インターネットが登場した時代で、ホームページをいち早く開設したところ、日本人ビジネスマンが宿泊するようになり、日本語が分かる韓国や台湾の若者が利用するようになったため、ホームページの多言語化にも取り組みました。

山田さんは、新今宮に活気を取り戻すためには外国人を増やすことだと気付き、簡易宿泊所でインバウンドに取り組む「OIG委員会」に参加。外国人向けパンフレット作成や、外国人旅行者アンケー調査などの活動を展開しました。2004年に1万泊だったホテル中央グループの外国人宿泊数は、2007年には5万泊に増えたということです。

最近はネット予約が増えました。ネットで宿泊場所を探す人は「点数」と「レビュー」を見ます。この評価をいかに高めるか。それは「接客が一番」です。地道な努力の結果、2013年にトリップアドバイザーのベストバリューで4位にランクされました。

ただ、来阪外国人は2013年ごろから急増していますが、ホテル経営のリスクを考えると、外国人旅行者に偏るのは良くないため、ホテル中央グループでは外国人50%、日本人50%の比率を貫いているということです。

今、新今宮が大きく変わろうとしています。星野リゾートのホテルが今年着工し、2022年に開業します。地下鉄「なにわ筋線」も2020年に着工、2030年ごろに開業します。かつて「労働者の町」だった新今宮は、様々なインバウンドへの取り組みにより、多くの外国人観光客が利用する街に変貌しています。「活気とエネルギーがあふれる街を新今宮に創るよう、これからも努力したい」と、山田さんは講演を締めくくりました。

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